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定例記者会見 「改正介護保険法に対する日医の見解を説明」 ―三上常任理事 |
(1)に関しては、まず、当該サービスを創設するに当たっては、さまざまな場面で使われている「自宅」と「居宅」「居住系施設」について、その定義を明確にすべきと主張。また、高齢者がずっと居住していた「居宅」と、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム等の「集合住宅」などへのサービス提供が同じ報酬で評価されることになれば、モラルハザードが起こる恐れがあるとし、「今後は、社会保障審議会介護給付費分科会などの場において、介護保険における『居宅』サービスについて、すべて並列に考えるべきかどうか、基準や報酬などの議論を行っていく」とした。 (2)については、喫緊の課題であるが、特に認知症サポート医に関しては有効に活用されていない状況にあると指摘。「認知症サポート医が、医療・介護・福祉に関わる職種をつなぐことが出来れば、各地域の総合的な認知症対応が推進されると考えており、次回の診療報酬・介護報酬の同時改定においては、『嘱託医』などの形で地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどへ配置する施策を提案したい」と述べた。 (3)に関しては、今回の法改正で、利用者の心身への危険性が高いと考えられる気管カニューレ内の吸引等まで、「日常生活を営むのに必要な行為」として介護福祉士等に認めている点について、医師や看護職が常時配置されている医療機関においては介護福祉士等が行うことは認められておらず、制度設計上の矛盾があると指摘。また、これまで緊急避難的な位置づけであったと認識している特養や特別支援学校等を、継続的に医療を提供する場として考えているのであれば、医療法等他の法律との整合性という点からも問題が生じるとした。 さらに、現在、これまで違法性阻却として許容されてきた行為に関して、法制度の整備の検討を行っている「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の最終取りまとめもなされず、試行事業結果の検証も終わっていない状況で法改正を行った点についても、「利用者及び介護従事者の安全と安心を担保出来る仕組みとは到底言えるものではない」として、遺憾の意を示した。 (4)については、「地域のニーズや利用者の状態から、介護療養病床から他の介護施設等への転換は難しい施設もあり、今後、地域における医療・介護ニーズを把握出来れば、おのずと介護療養病床の必要性が見えてくる」として、引き続き、介護療養病床の必要性を訴え続けていく考えを示した。 一方、今回の改正の評価出来る点に関しては、保険料の上昇を緩和するため、都道府県に設置されている財政安定化基金の取り崩しを認めたことを挙げた。 ◆問い合わせ先:日本医師会介護保険課 TEL:03-3946-2121(代) |
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