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定例記者会見 「行政刷新会議の規制・制度改革に対する日本医師会の見解(1)」 ―中川副会長 |
同副会長は、まず、7 月22 日に閣議決定された、「規制・制度改革に係る追加方針」(以下、追加方針)の項目は、日医がこれまで再三指摘してきたように、国の審議会等で議論、検討されているものであり、政府がこれらの審議会等を尊重せずに、頭越しに閣議決定を行ったことを改めて非難した。 さらに、閣議決定された「追加方針」の、「高額療養費制度の見直し」「ホテルコスト・補足給付の適正化」の項目は、「社会保障・税一体改革成案(以下、成案)を踏まえて検討する」とされていることを指摘し、成案は閣議報告(7 月1日)されたに過ぎず、成案の内容を踏まえるという閣議決定は、成案を間接的に閣議決定しようとするものであり、ルール違反である。こうした政府の手法を厳しく非難するとした。 そのうえで、分科会第二次報告書の基本的考え方に対する日医の見解を述べた。 「高齢者医療制度と介護保険制度の一元化」については、現在、医療保険は現物給付、介護保険は現金給付であり、「一元化」には、制度上無理があるとした。また、介護保険制度では、医療の混合診療にあたる保険・保険外サービスの提供が認められ、民間企業も参入していることから、医療保険との「一元化」を通じて、医療分野にも株式会社が参入し、これが糸口となって、混合診療が全面解禁され、ひいては国民皆保険の崩壊につながる危険性があると指摘した。 「総合家庭医制度」については、「専門医とその一類型としての総合家庭医を制度として確立」するとしていることを問題視。新たな制度を創設し、管理医療、医療費抑制を進めようという意図がうかがえ、その結果、受診の場が失われ、国民皆保険下のフリーアクセスが崩壊するとした。 「公的保険の適用範囲の再定義」については、「再定義が公的保険の給付範囲の縮小を狙ったものであれば、日医は反対である。公的給付範囲の縮小により私的医療費を拡大させようとする流れに対しては、徹底的にこれを阻止する」と主張した。 「セルフメディケーション」については、利便性よりも安全性を重視し、あくまでも、国民への啓発活動、かかりつけ医機能の推進、公的な地域保健活動などを基本とすべきであるとした。 「国際医療交流」については、自由診療、自由価格の医療市場が拡大し、混合診療の全面解禁が後押しされ、公的医療保険の給付範囲を縮小させることが懸念されるとして、営利の追求を目的とした組織的な国際医療交流(医療ツーリズム)には反対であるとした。 「医療産業」については、「医療とその周辺のサービスや商工業との連携を促進する」と明示されていることについて異論があると述べ、社会保障は平時の国家安全保障であり、営利産業化させ、市場で競争させるべきものではないとの考えを示した。 さらに、同副会長は、追加方針の項目、「高額療養費制度の見直し」について、高額療養費の患者負担軽減には賛成であるが、高額療養費の見直しの規模に応じて「受診時定額負担」を検討するとされている点について、「受診時定額負担」の導入に反対であると主張。その理由として、1.公的保険である以上、財源は、幅広く保険料や税財源(公費)に求めるべきである、2. 「受診時定額負担」は、毎回一定額を支払うことになり、受診回数の多い高齢者には負担が大きい。また、当初は定額100 円であっても、いったん導入されれば、その水準が引き上げられていくことは、明らかであり、高齢者や低所得者の受診抑制につながることが懸念される―ことを挙げた。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
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