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大学病院の医療に関する懇談会 「今後の医学部入学定員の在り方等について活発な意見交換」 |
大学病院の医療に関する懇談会が8月2日、日医会館で開催された。
冒頭、原中勝征会長は、当面の問題として、「医師不足、診療科の偏在」を挙げたうえで、日医が医師養成について提案をしていることにも触れ、「日医は常に国民のための医療を考えているので、ご指導ご協力をお願いしたい」とあいさつした。
つづいて、全国医学部長病院長会議(以下同会議)の森山寛新会長のあいさつの後、同会議顧問の小川彰岩手医科大学長の司会のもと、以下の7つの議題について、意見交換が行われた。
(1)「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会の動向」では、森山会長が、同検討会が拙速に中間答申をまとめる意向であることに懸念を示し、意見を求めた。検討会の委員である黒岩義之横浜市立大学教授は、同会議の立場から、一貫して医学部新設に反対を唱え、医師養成には総合的な対策が必要と主張していることを報告。同じく委員である中川俊男副会長は、大勢としては医学部新設に賛成の委員は少ないものの、一筋縄ではいかない案件であるので、関係者全員であらゆる方向から反対する必要があると強く訴えた。この問題については、両者が協力し、反対していくことで合意した。
(2)「特定機能病院について」では、中川副会長が、特定機能病院のあり方についての日医の提案を説明し、理解を求めた。
(3)「医療事故調査制度について」では、高杉敬久常任理事が、日医の「医療事故調査に関する検討委員会」が6月に取りまとめた答申、「医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言について」を概説した。また、石井正三常任理事が、「更なる医療の信頼に向けて―無罪事件から学ぶ―」をテーマとして、7月24日に、日医総研シンポジウムを開催したことを報告。森山会長からは、全国医学部長病院長会議としての考えを取りまとめ、11月の定例記者会見で発表する意向が示された。
(4)「医学生の学力低下問題について」では、全国医学部長病院長会議・学生の学力低下問題に対するWG座長の吉村博邦顧問より、80大学を対象に実施した調査結果が示され、平成20年の定員増以降、医学部学生の学力は明らかに低下傾向にあることが報告された。
(5)「被災地医療支援について」では、石井常任理事が、JMATは7月15日をもって終了とし、今後は、「JMATII」として継続することを報告した。また、嘉山孝正相談役からは、被災者健康支援連絡協議会の下で、全国医学部長病院長会議・被災地医療支援委員会が医療支援のための医療者派遣システムを立ち上げ、9月1日より継続的に、原則2週間毎に医師派遣を行う予定であることが説明された。
(6)「特定看護師(仮称)について」では、藤川謙二常任理事が、チーム医療推進会議の議論における日医の考えを示し、理解と協力を求めた。
(7)「その他」では、全国医学部長病院長会議の立場から取りまとめた『医師養成の検証と改革実現のためのグランドデザイン - 地域医療崩壊と医療のグローバル化の中で - 』の素案の概略について、神保孝一相談役より説明がなされた。
続いて行われた報告では、今村聡常任理事が、8月21日(日)に日比谷公会堂にて、「医療と消費税」をテーマに、市民公開セミナーを開催することを説明し、参加と協力を要請した。
◆問い合わせ先:地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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