白クマ
日医白クマ通信 No.1464
2011年9月27日(火)


医療政策会議「医療保険財政と医療の産業化について委員が講演」

医療政策会議


 第7回医療政策会議が9月16日、日医会館で開催された。

 冒頭、田中滋議長(慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)が、本会議の会長諮問「医療を産業化していいのか」について、「医療も立派な非営利の産業なので、『産業』という言葉だけだと何とも言えない。諮問を『医療を営利産業化していいのか』とし、明確な問い掛けに変えることを原中会長にご了承いただいた」と報告した。

 会長のあいさつの後、遠藤久夫学習院大学経済学部教授が「医療保険財政と医療の産業化について」講演した。

 同氏は、まず、医療の産業化について、営利性・非営利性と効率性の観点、生産誘発効果あるいは雇用拡大効果を期待して公的資金の投入もしくは市場原理の下で医療・介護を拡大すべきだという対立する二つの意見があることを挙げ、医療保険財政の現状について解説。

 国民所得に占める国民医療費割合がバブル崩壊後の経済成長の減速に伴い大きく伸びているグラフを示し、「景気が悪くなっても、医療費はすぐには下がらない。その乖離によって国民所得に占める国民医療費の割合が上がり、医療費の上昇を抑える施策がとられる」と述べ、病院の機能分化の推進、平均在院日数の短縮、患者自己負担の引き上げ、既収載品の薬価引き上げ、ジェネリックの使用促進、診療報酬の改定率の引き下げが日本の医療費のコントロール政策として用いられてきたことを説明した。

 そのうえで、「医療費の財源をどれだけ確保出来るかが非常に重要な課題になる。増税というのは1つの考え方で、当然のことながらやらなくてはいけないわけだが、この不況下で国民を説得することが出来ず、タイミングを逸してきた」と指摘。厚生労働省の医療費負担の長期推計では、高齢化の進展によって公費負担が大幅に増加するとのシミュレーションが行われており、例え税財源や保険料が引き上げられても、医療費上昇の抑制策は続くのではないかとの見方を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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