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定例記者会見 ポリオワクチンに対する日本医師会の見解について ―保坂常任理事 |
同常任理事は、冒頭、不活化ポリオワクチン(以下、IPV)が、来年度末にも導入予定である発表がなされてから、保護者の間で、生ポリオワクチン(以下、OPV)によるポリオ様麻痺についての不安が更に広がっているとした。また、これまでも、厚生労働省に対して、さまざまな働き掛けを行ってきたとした上で、「OPV接種実施中にポリオワクチンについての報道が過熱することが、更なる不安を煽る可能性があったため、あえて本日まで見解の発表を控えていた」と述べた。 同常任理事は、まず、日医は、平成12年7月にIPVの早期導入を強く要望する見解を公表して以来、一貫して早期導入を主張し続けてきたが、現在まで実現に至らず、今春、ようやく、DPT+IPVの4種混合ワクチン及び単独IPVの承認申請が出される見込みとなったと説明。そうした中、OPV接種者の100万人に1.4人程度出現するポリオ様麻痺をおそれ、OPVの接種率が低下していることについて、この傾向が続けば、OPV接種者から非接種者への2次感染の拡大、海外からのポリオウイルスの輸入感染の拡大等が強く懸念されるとした。 さらに、個々の医療機関の個人輸入によるIPV接種が徐々に増加していることについて、薬事法の承認を受けていないIPVによる副反応被害は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による健康被害救済制度や国の予防接種健康被害救済制度の対象にならないことを、保護者に正しく理解していただいた上で、接種すべきとした。 また、IPV導入の遅れは、日本の予防接種政策、予防接種行政の本質的な問題を示しているものであり、今後、国は中長期的視点も合わせて、継続的に予防接種政策を検討、実現させるための仕組みづくりを早急に行う必要があるとの考えを示した上で、「IPVについては、速やかな承認申請を促し、国として安全性を担保しつつ、可能な限り迅速な審査、承認を行うよう努めるべきである」と述べた。また、その間にいくつかのIPVの互換性、すでに1回目のOPV接種を済ませた子どもへのIPV接種のやり方等を明確にし、必要供給量の試算も行いながら、現場の医師や子どもたち(両親)が混乱をきたすことのない、OPVからIPVへの切り替え方法や切り替え時期を決定する必要があるとした。 同常任理事は、OPVからIPVへの切り替えが可能となるまで、なるべく多くの子どもたちがOPVの接種を受けることを心から願うとともに、予防接種で防げる病気(VPD)から子どもたちを守るために、国に対して継続した努力を求めていくと述べ、マスコミ各位に対しても、正確な報道を行うよう理解と協力を求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代) |
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