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定例記者会見 「平成24年度予算編成に向けての日医の見解」 ―中川副会長、鈴木常任理事 |
鈴木常任理事は、前回2010年度診療報酬改定の分析結果から、前回の改定が急性期の大病院に偏った配分であったことを改めて指摘し、改定後の医療費の動向は、大学病院の伸び率が大きく、診療所はわずかにプラスであったことなどを概説。開設者別では大学病院に、病床規模別では500床以上の病院に中期的に医療費が集中していることなどを指摘した。 さらに、中医協「医療経済実態調査」から、病院長・病院勤務医の給与は全体的には増加したが、医療法人では減少したことに触れ、「補助金収入がある国公立病院とは異なり、民間医療法人の原資はほとんどが診療報酬である。民間医療法人が、診療報酬改定後も、なお給与を削減せざるを得ない実態であることは深刻に受け止めるべきである」と強調した。 |
続いて、中川副会長は、提言型政策仕分けに対する日医の見解として、まず、診療報酬、公的医療保険のあり方などが、「事業」として仕分けられるべきものなのか疑問であるとし、評価結果についても問題だとした。 同副会長は、財政当局が病院勤務医と開業医の給与を比較していることについて、サラリーマンと個人事業主の比較は出来ないとし、病院と診療所の対立構造に持ち込むべきではないと主張した。また、診療科間の報酬配分を大胆に見直すという評価結果を誘導したデータについて、医療経済実態調査の単月調査には信頼性がなく、客体数も非常に少ないことから比較にならないと強調した。さらに、医療費の約48%が「医師等の人件費」としている点について、「医師」の人件費は12.7%に過ぎないとして、医療費の半分近くが主として医師の人件費であるかのような間違った表現をすべきではないとした。 中川副会長は、同日、民主党の「適切な医療費を考える議員連盟」が、決議文『2012年度診療報酬改定に向けて』を輿石東幹事長に提出したことに言及し、「2012年度の診療報酬改定こそが、『医療再生』か『医療崩壊加速』かの大事なターニングポイント」、「改定率はネットプラス3%とすべき」と表記されていることに触れ、「地域医療の現状を正しく認識された上での行動であり、日医として高く評価したい」と述べた。また、2009年の総選挙で民主党が掲げたマニフェストは、必死で地域医療を支えてきた医療関係者に一筋の光明を与えたはずであり、財務省が主張している「本体マイナス」というのは、せっかく撤回した「社会保障費2200億円の削減」を実質的に復活するものだとして、「ぜひ、この決議文の方向性で考えていただきたい」と訴えた。さらに、同日、輿石幹事長が、「党の最重要課題として検討したい」との考えを示したことについても、高く評価するとして期待を寄せた。 同副会長は、安住淳財務大臣にも、これからも、「このままでは地域医療の崩壊は止まらない」ということの理解を得る努力をしていくとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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