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定例記者会見 「2012年度の診療報酬改定を振り返って日医の見解示す」 ―中川俊男副会長、鈴木邦彦常任理事 |
中川副会長は、答申が取りまとめに至るまでの日医の活動を改めて説明した上で、今回の改定結果については、前回に続いて、全体(ネット)でプラス改定となったこと、医科はプラス1.55%(4700億円)であり、かつ入院・入院外の配分が予め決定されなかったことは評価出来ると指摘。プラス改定になった要因としては、野田総理が総理就任前に「基本的にマイナスはないだろうと発言したこと」や前原誠司政調会長が「われわれとしては、ネットプラスを求めることを政調役員会で了解いただいた」と発言したことが大きかったと振り返り、政府与党はじめ、中医協委員の方々の真摯な議論に対して感謝の意を示した。 その一方で、前回改定で明確なエビデンスがなく引き下げられた再診料を復活出来なかったことに遺憾の意を表明。中医協の答申書の附帯意見には「初再診料及び入院基本料等の基本診療料についてはコスト調査分科会報告書等も踏まえ、その在り方について検討を行う」との記載もあることから、引き続き、その引き上げに向けて尽力していきたいとした。 更に、同副会長は財務省主導で「仕分け」が行われ、財務省が診療報酬の中味にまで介入することが常態化ししつつあることを問題視。財源ありきで方向性が限定され、あるべき医療に歪みが生じかねないとして、診療報酬改定プロセスは財務省主導で進めるべきではないと主張した。 |
「再診料及び地域医療貢献加算の見直し」に関しては、再診料が据え置きとなったことは残念とした上で、「答申書の附帯意見に、再診料を含めた基本診療料の在り方について検討すると明記出来たことから、4月以降も引き続き議論していきたい」とした。 地域医療貢献加算については、より現実的な名称となり、評価体系も見直すことが出来たこと、「同一医療機関における複数科受診時の診療科別の評価」についても、患者の意思による同一日2科目目の受診については、1科目の約半額ではあるが再診料、外来診療料が算定出来るようになったことは評価出来るとした。 「入院中の患者の他医療機関受診の取り扱いの見直し」については、「会員の先生から最も多くその見直しを求められていた問題点であり、その見直しを中医協においても強く求めてきた」とした上で、まずは精神病棟、結核病棟、有床診療所入院患者のみではあるが、透析または共同利用を進めている検査のため、他の医療機関を受診する場合について15%等の控除とすることが出来たことは、今後の議論に向けた糸口となるとの考えを示した。 その他、「有床診療所の入院基本料の引き上げ」「療養病棟入院基本料において複数の疾患等を合併している場合の医療区分の引き上げ」「療養病棟入院基本料における認知機能障害加算の再評価」「一般病棟入院基本料15対1の引き上げ」「在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院とそれ以外の在宅点数格差是正」「在宅ターミナル加算の見直し」等についても、基本診療料の引き上げは今回難しかったものの、有床診療所の機能に着目した評価や新たな算定項目が設定されるなど、一定の評価をすることが出来たとした。 その上で、同常任理事は、今回正式な議題として取り上げられなかった項目についても、引き続きその実現に向けて努力していく意向を示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課、総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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