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医療に関する懇談会 「医師養成等の問題を活発に協議」 |
冒頭あいさつした原中勝征会長は、医学部新設問題に触れ、改めて反対の意向を示した上で、「今問題であるのは、基礎医学の研究者の減少や地域及び診療科間の医師の偏在であり、大学の先生方と一緒にその問題の解決策を考えていきたい」と述べた。 引き続き、協議では、(1)医師養成、(2)女性医師の就労環境、(3)研究医減少問題、(4)文部科学省「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」の論点整理、(5)動物愛護管理のあり方、(6)日看協「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」―等について議論が行われた。 (1)では、大学側から「医師養成の検証と改革実現のためのグランドデザイン―地域医療崩壊と医療のグローバル化の中で―全国医学部長病院長会議の立場から」について説明が行われた。その内容は卒業前、卒業後、卒業前・後にまたがる課題に分けて、現状の検証を行い、問題解決のための提言を示したものとなっており、その考え方については「医師養成についての日本医師会の提案(第2版)」とほぼ一致していることが確認された。中川俊男副会長は、喫緊の課題は診療科の偏在の問題であると指摘。「この問題は難しい問題であるが、解決しなければならない問題だ」として、大学病院側に協力を求めた。 (2)では、津田喬子名古屋市立東部医療センター名誉院長が、昨年実施した「女性医師の就労環境に関する実態調査」の結果を基に、現場の女性医師は「保育所の質の向上」「短時間勤務制度の導入」などを求めていることを紹介。女性医師への更なる支援が必要なことが今回の調査でも明らかになったとした。保坂シゲリ常任理事は、日医が平成21年に実施した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」の結果を紹介した上で、女性医師の勤務環境を変えるためには1.医師全体の勤務環境の改善2.医療への適正な投資3.指導的立場、意志決定機関への女性の参加が必要だとして、その実現に向けた日医の取り組みを説明。この問題については両者が協力して、文科省等に働きかけを行っていくことで一致した。 (3)では、有田順山梨大学医学部長が「ホームページの開設」「研究医減少の現状を把握することを目的したアンケート調査(全医学部対象)の実施」等、問題解決に向けた取り組みを紹介。 (4)では、森山寛全国医学部長病院長会議会長が論点整理に対する考え方について説明するとともに、医学部新設阻止に向けた協力を要請。中川副会長もこの問題に対する日医の対応を説明し、両者が協力して、医学部新設に反対していくことになった。 (5)では、現在検討が進められている動物愛護管理法の見直しに関して、大学側から、過度な規制の強化は日本の医学研究の衰退を招く危険があるとして、日医の支援と協力を要請した。 (6)では、日本看護協会が看護師の労働条件の緩和を目指して策定を進めているガイドラインについて、藤川謙二常任理事が看護師の労働条件を考える前にまずは看護師の数を増やすべきとの日医の考えを説明。大学側も一定の理解を示した。 その後は、日医からの報告として、藤川常任理事が看護師特定能力認証制度の議論の経過を概説。日医としては侵襲性の高い医療行為は医師が行うべきと考えており、国家認証の必要はないことを説明し、理解を求めた。また、今村聡常任理事は4月から医学生のための無料情報誌を創刊することを紹介し、「出来るだけ多くの医学生の目に触れてもらえるよう協力をお願いしたい」と述べた。 その他、当日は、中医協DPC評価分科会長である小山信彌東邦大教授が4月から行われるDPC/PDPSの見直しの内容を説明。これに対して、三上裕司常任理事は基礎係数の設定基準があいまいなこと等、改めてその問題点を指摘した。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代) |
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