白クマ
日医白クマ通信 No.1522
2012年3月16日(金)


定例記者会見
「TPP交渉参加についての日本医師会の見解−最近の情勢を踏まえて−」
―羽生田・中川両副会長

定例記者会見


 日本医師会はこれまで、貿易の枠組みにまで意見する立場にないとの判断から、TPPという協定の枠組みそのものを否定しているわけではないと述べてきた。しかし、これまでの米国の要求、米韓FTA等の事例、TPP参加国の識者による意見等を踏まえ、羽生田俊・中川俊男両副会長は、3月14日の定例記者会見で、「日医は、日本のTPP参加について全面的に反対する」との見解を公表した。

 まず、中川副会長は、2011年11月2日、日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、政府がTPP交渉への参加を表明する以前に、将来にわたって日本の公的医療保険制度を除外することを明言するよう求めたが、政府から未だ明確な回答はなく、懸念はますます強まっているとした。

 また、政府が、TPP参加によって公的医療保険が揺らいでも、すべての国民が加入してさえいれば「国民皆保険」であると主張する可能性に言及し、日医は、(1) 公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、(2) 混合診療を全面解禁しないこと、(3) 営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと―が守られてこそ、世界に誇る「国民皆保険」であると考えるとし、このままでは「国民皆保険」の堅持が危ういことから、日本のTPP交渉参加に反対の立場を明確に表明すると強調した。

 さらに、同副会長は、米国が公的医療保険そのものの廃止を要求してこないことは想定済みとした上で、株式会社の参入を要求したり、中医協での薬価決定プロセスに干渉したりすることを通じて、公的医療保険制度を揺るがすことが問題だと指摘した。

 続いて羽生田副会長は、「聞けば聞くほどTPPが非常に危険な協定であることを強く感じるようになった。外堀を埋められてきている」と述べ、公的医療保険の給付範囲が縮小されかねないことへの強い懸念を示し、これまでの立場よりさらに一歩進めて、「TPPそのものに反対していく」とした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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