白クマ
日医白クマ通信 No.1529
2012年3月26日(月)


定例記者会見
「学校保健委員会答申」
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は、3月22日の定例記者会見で、学校保健委員会の答申に ついて説明した。

 本答申は、会長諮問「地域医療の一環としての学校保健活動のあり方と勤務 医の参加」に基づき検討を重ね取りまとめたもので、3月15日に衞藤委員長 (恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所副所長)から原中勝征会長に 提出された。

 内容は、(1) 序文、(2)地域医療と学校保健のかかわり 、(3)学校と地域諸機関の連携に関する法的な規定について 、(4)地域医療の一環としての学校保健の役割 、(5)勤務医に知っておいてほしい学校保健の知識と技能、(6)医師の養成課程で修得すべき学校保健、(7)結論―の7章からなり、巻末に「健康診断の改善、特に運動器検診の整備・充実に関わるワーキング・グループのまとめ」を収載している。

 (2)では、地域の専門家として学校保健に関わっていく重要性を強調するとともに、昨年の東日本大震災では、学校において多くの犠牲者を出したことから、「今後の学校での非常時での防災教育、訓練は学校にとっても、学校保健にとっても避けて通れない問題となっている」との問題意識を示している。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、学校保健を中心として、放射線に関する基礎知識を児童・生徒、保護者等に適切に伝えていくことが大切だとしている。

 (3)では学校保健安全法の規定について解説。(4)では、心臓検診、腎臓検診、小児生活習慣病予防検診など広範囲に亘る検討内容が記され、その中で、発育期のスポーツ障害の早期発見と予防の重要性に触れるとともに、運動器検診を推進するため、運動器専門医と他科の学校医との連携が課題だとしている。特に、平成24年4月より中学校保健体育科で武道が必修化されることから、運動器を中心とした傷害や安全対策を考えるために、実態調査を行った上で予防対策を立案することが必要だとしている。

 (5)(6)では、勤務医にも学校保健への理解を深めてもらうことが必要だとし、医学教育における学習方法や卒後教育における学校保健研修の工夫などを盛り込んでいる。

 石川常任理事は会見の中で、「東京電力福島第一原子力発電所の事故により、日本は世界でも類を見ない被ばく国になってしまった。広島、長崎の被爆者は就職や結婚の差別で苦しんだが、福島の子どもたちがこうした差別を受けないよう、日本の子どもたちに放射線の正しい知識と対応を教育してもらうことを文部科学省に強く要望しており、学校保健の立場から協力していきたい」と強調。そのために、「日本医師会が考える重要施策」として、1.子どもを放射線被ばくから守る(次世代の命を守る施策)、2.検診(学齢期以降も含む)と補償(安心の醸成のための施策)、3.健康教育の実施(子どもの健やかな成長のための施策)、4.復興構想会議による「復興への提言」との有機的な連携と実践―を提言していることを紹介した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)
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