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定例記者会見 「東日本大震災に係る対応 保険診療・地域医療再生基金・災害復旧費補助金・医療法等について(第1報)」について ―中川副会長、三上・鈴木両常任理事 |
まず、中川副会長が、2011年3月に東日本大震災が発災し1年が経過したが、復旧は未だ道半ばであり、医療再生もこれからが正念場であるとの見解を示した。そして、本稿は簡略的な内容ではあるが、復旧・復興対策の見直し、および全国で今後の災害対策を検討していただく一助になればと考え、発災後1年を区切りとして、いったんのとりまとめを行ったと説明した。 同副会長は、先ず総括として、保険診療上の対応について、発災直後からスピーディーに一部負担金の免除、診療報酬上の施設基準の緩和等が実施され、かつその期間も長期間に設定されたことを評価するとした。その上で、一部負担金の免除等については、周知徹底が困難であったことを踏まえ、激甚災害等の場合には、一部負担金等が免除されるケースがあることを、平時において国民や医療機関に伝達しておく必要があるとの考えを示した。 また、医療機関の災害復旧への支援については、地域医療再生基金、医療施設等災害復旧費補助金、福祉医療機構の融資条件の引き下げなど、多方面からの支援がなされたことを評価する一方で、民間医療機関への支援が十分でなかったことを指摘し、公的、民間医療機関を区別しない支援が必要だと主張した。 さらに、日医は、2011年5月、激甚災害等からの医療再生および防災対策のための新たな基金の創設を提案したが、今回再度同趣旨の提案を行い、実現に向け働きかけをしていきたいとした。 次に、鈴木常任理事が、発災後の保険診療上の主だった対応を月ごとに解説した。さらに同常任理事は、1年間を振り返ってみると、日医は、発災当初、とても同時改定が出来る状況ではないとして、被災地に医療を取り戻すことが最優先であるとの考えから、5月に2012年度診療報酬・介護報酬同時改定の見送りを求めることを決定したが、その後の復旧等の状況も踏まえて改定にも柔軟に対応してきたところ、わずかではあるがプラス改定の結果を得たことによって、被災地への対応と改定への取り組みが両立出来たことは何よりであったと述べた。 続いて、中川副会長が、医療機関の災害復旧に係る補助金等として、改めて、地域医療再生臨時特例交付金、医療施設災害復旧費補助金、医療施設近代化施設整備事業について、交付状況等の実態を概説した。 次に、三上常任理事は、被災した民間医療機関を対象とした福祉医療機構による融資条件の見直しとして、日医が三次にわたる補正予算の都度、関係各方に要望や働き掛けを行ったことにより、融資率の引き上げ、貸付利子の軽減、融資限度額の引き上げ、償還期間の延長等が実施されたと説明。貸付実績の概要を示し、より一層利用しやすいものとなるよう、今後も必要に応じて要望等を行っていくとした。 また、雇用調整助成金及び雇用保険失業給付の特例措置についても、日医が医療従事者の継続的確保のために要望を行い、一定の成果を得たとした。しかし、雇用調整助成金は、医療機関関係者から、必ずしも使い勝手の良い制度とはなっていないとして改善を求める声もあるので、日医として、引き続き支給要件緩和等の要望を行っていきたいとした。さらに、医療法の特例措置、復興特区における医療法の緩和についても解説し、早い時期に実態の検証を行い、特例措置を継続するかどうかの判定が求められるとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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