白クマ
日医白クマ通信 No.1547
2012年4月12日(木)


定例記者会見
再生可能エネルギー特措法による「実質的な電気料金再値上げ」に対する日医の懸念について
―今村副会長

定例記者会見


 今村聡副会長は4月11日に行われた定例記者会見で、本年7月1日から施行される、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー特措法)」に伴い、4月の東京電力による電気料金値上げに続き、「実質的な電気料金再値上げ」の可能性があるとして、問題点を指摘し懸念を表明した。

 同副会長は、「調達価格等の算定に関する問題点」として、(1)買い取り価格は、特定供給者の収益確保のみが重視されて、エネルギー種類別のコストパフォーマンも考慮されず、競争原理が働かない調達価格になる可能性があること、(2)特定供給者が発電するほど、電気利用者への賦課金が増加する制度には持続可能性に問題があり解決策が考慮されていないこと、(3)ドイツでの先行事例を基に試算すると、日本の平均的な病院(260床)における光熱費の上乗せ額は、当初(2012年)は年間約42万円(光熱費0.7%増)であったものが、10年後(2022年)には年間約625万円(同10.7%増)の負担額となること―を指摘。

 さらに、「調達価格等算定に関する日医の意見」として、(1)2013年以降の地球温暖化対策の基本方針及びエネルギー基本計画の中で、「再生可能エネルギー電気と原子力等既存エネルギー電気の位置づけ」及び「整備目標」等を明らかにすべき、(2)電気利用者である国民や医療・産業等への負担を極力軽減する仕組みにすべき。特に医療は公定価格であるため価格転嫁することが出来ないので、賦課金の免除措置又は診療報酬上の措置を講ずるべき、(3)現在大きな課題は、原子力発電所の停止等に伴うベース電源供給力の低下であることから、ベース電源確保ニーズに対応した政策誘導を行うべきであり、緊急避難的なLNG火力の増設やコスト的に安い地熱発電を中心に検討すべき、(4)再生可能エネルギー(太陽光、中小水力、風力、バイオマス、地熱)の発電単価による評価を取り入れた政策誘導を行うべき―などを指摘した。

 今村副会長は、これらの意見をまとめ、日医と四病院団体協議会連名で4月3日に枝野幸男経済産業大臣と資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会」に意見・要望書を提出したことを報告。さらに、「調達価格等算定委員会」には、ヒアリングの場を設けるように要望したが実現に至らない上に、日医から提出した資料もごく一部しか配布されなかったこと対して、「要望書が、国の委員会の中で取り上げられないことは非常に問題がある」と述べ、遺憾の意を示した。

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