白クマ
日医白クマ通信 No.1551
2012年5月17日(木)


定例記者会見
「5月21日の日食の観察に係る注意喚起について」
―羽生田副会長

定例記者会見


 羽生田俊副会長は、5月16日の定例記者会見で、「5月21日の日食の観察」について、「眼科として最も心配なのは、太陽光による網膜症の発症である」として、注意を喚起した。

 初めに同副会長は、日医が、日本眼科学会、日本眼科医会と共に作成した、日食の観察に際して眼を傷めないようにという注意喚起のポスターを紹介。医療機関の待合室等に掲示してもらうように、3月末に、『日医雑誌』4月号に同封して全会員に配布したことを報告した。

 今回は、九州南部・四国・紀伊半島から関東付近にかけての地域では「金環日食」が、また、その他の地域でも「部分日食」が起き、東京で金環日食が見られるのは173年ぶりということで、学校としてもぜひこの現象を見せたいということであるが、教員、児童・生徒、保護者に対して、太陽を直視するなど不適切な日食観察には危険が伴うことを周知し、事故を未然に防ぐことが、極めて重要になるとした。

 更に、同副会長は、太陽光による眼障害の例として、ガリレオ・ガリレイ(1564―1642)が晩年に失明したのは、自作の望遠鏡で太陽を観測し、太陽光による網膜症も一因ではないかとの説もあることを紹介し、「それほど、太陽の観察には十分な注意が必要ということで、ポスターを医療機関に配布し、注意喚起をしているものである」と述べた。

 その上で、日食の観察に当たっては、通常のサングラス、ススをつけたガラス片、露光したフィルム等は眼を傷める危険があり、適切に減光する専用の日食観察グラスが望ましいと強調。

 最後に、同副会長は、太陽性網膜症が、現在行われている、糖尿病性網膜症や眼底出血に対するレーザー光線による光凝固の治療法のヒントになったことに触れ、「障害でなく治療に使うのなら良いのだが、障害が起きることを非常に心配している」と述べ、報道各社に対し、改めて全国に報道し、注意を呼び掛けて欲しいと要請した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)
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