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定例記者会見 「こころの健康基本法(仮称)骨子」に対する意見 ―三上常任理事 |
初めに、わが国では1998年以降、年間自殺者が3万人を超える状況が続いており、自殺未遂者は少なく見積もっても既遂者の10倍は存在すると推定され、医学的には自殺者の大多数が最後の行動に及ぶ前に何らかの精神疾患に該当する状態にあることが指摘されていると説明。また、昨年3月11日に発生した東日本大震災の強い恐怖経験により、子どもたちを含め多くの被災者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいると言われており、その支援は長期的かつ重点的に行われることが求められていると指摘。「すなわち、精神保健・精神医療の充実は社会的な課題であり、国としてその対応を進めることが必要であることは当然のことだと考える」と述べた。 一方で、現実的には、既に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)、障害者基本法等の既存の法律が施行・運用されている中、法案骨子においては、「こころの健康環境基本計画」の策定を、国、都道府県に対して義務付け、市町村には努力義務を課し、原則として当該施策の具体的な目標、達成時期を定めるとしていると説明。 これに対し、同常任理事は、1.医療法に基づく医療計画の4疾病5事業に新たに「精神疾患」が加わり5疾病5事業となり、来年度の実施に向け、今まさに各都道府県において医療連携を中心とした医療提供体制に係る計画策定が進められているところであること、2.法案骨子の中で、地方公共団体に「地域こころの環境センター」設置の努力義務が課されているが、既に各都道府県、政令市では、精神保健福祉法の規定に基づく精神保健福祉センターが稼動しており、屋上屋を重ねる施策になりかねないこと―を指摘。これら法案骨子に示される内容は、既存法、あるいは既存法の充実によって対応が可能であり、新たな法制化によって、かえって現場の混乱を招くことが懸念されるとした。 その上で、「今行うべきは理念法の制定よりも、財政的な裏付けに基づく具体的な体制の整備であり、そのことが実効ある精神保健・医療施策の推進につながるものと考えている」と述べ、日医が、法案骨子に対して反対の立場であることを明言した。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代)
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