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定例記者会見 「准看養成に関する神奈川県知事の発言に懸念を表明」 ―藤川常任理事 |
今回の神奈川県知事の方針は、1月31日に開催された「神奈川県における看護教育のあり方検討会」において初めて示されたものであり、同知事はその後も繰り返し、同様の発言を続けている。 これに対して、藤川常任理事は、知事の方針には、(1)「准看護婦問題調査検討会報告書(平成8年)」に対する認識、(2)看護職員確保の将来構想―の2点に関して、大きな誤解があると指摘。 (1)については、まず、「医療機関での勤務を義務付けることを禁止」「奨学金関係」「無資格者による医療行為の禁止の徹底」等の報告書に示された「准看護婦養成所の運営について直ちに改善が必要な事項」は、既に対応済みとなっていることを説明。また、「看護職員全体の供給数が需要数をかなり上回ると見込まれる。」とされていることについても、実際には、平成24年においては5万人(第7次看護職員受給見通し)の不足が見込まれているとした。 更に、その後の対応に関しても、2つの検討会が設けられ、「准看護師教育では、カリキュラム時間数や専任教員の増加が図られたこと」「移行教育についても、准看護師の経験を考慮した2年課程(通信制)が設置されていること」などに言及し、「これらの経緯にも触れず、議論が止まっているかのように論じるのは、事実を歪めるものだ」と指摘した。 (2)に関しては、神奈川県における平成22年の人口10万対看護職員数は全国最下位で、第7次需給見通しでは全体で5万6千人、そのうち神奈川県の不足は1万4千人(全体の4分の1)になると見込まれていることを紹介。前述の神奈川県の検討会では、准看護師養成停止の際の対応策として、離職防止や潜在看護職員の掘り起こし等のメニューを示しているが、その実現性・実効性には疑問があり、このような状況の中で、今回のような方針を示すことは適正とは言い難いとした。 また、社会人が看護職を目指す場合、准看護師になることが多いことにも触れ、看護職になる道の多様性を閉ざせば、看護職は新卒と経済的に余裕のある社会人しかなれないことになり、看護職員不足は一層拡大すると指摘。看護職の「離職率」に関しても、厚生労働省「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム報告書」によれば、病院の常勤看護職員の離職率が11.2%であるのに対して、専門・技術的職業従事者の離職率は12.7%であり、概ね同水準にあること、また、「離職」には、看護職を辞める場合(定年退職も含む)だけでなく、他の医療機関への「転職」も含んでいること―等を示して、看護職が他職種に比べて離職率が高いわけではないと反論。神奈川県における新人准看護師の離職率をもって、准看護師課程の教育内容に問題があると結びつけることは適切ではないとした。 その上で、藤川常任理事は、地域医療を支えている中小病院・有床診療所における准看護師の役割の重要性を改めて強調。神奈川知事に対しては、「拙速な議論によって誤った結論を導き出すのではなく、神奈川県医師会及び准看護師養成学校を有する地域医師会と十分に時間をかけた話し合いをすることを要望したい」と述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代)
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