白クマ
日医白クマ通信 No.1575
2012年8月7日(火)


定例記者会見
「2012年度診療報酬改定についての調査結果報告について」
―鈴木常任理事

定例記者会見


 鈴木邦彦常任理事は8月1日の定例記者会見で、今年度実施された診療報酬改定を検証し、今後の診療報酬改定のための重要な基礎資料とすることを目的に日医が実施していた「2012年度診療報酬改定についての調査」の結果を公表した。

 本調査は、日医会員である開設者及び管理者に対して行ったもので、都道府県ごとに診療所・病院それぞれ20分の1ずつ無作為抽出し、調査票を発送した。診療所3,803件のうち有効回答数は2,037件(有効回答率53.6%)、病院346件のうち、有効回答数は169件(同48.8%)。

 在宅医療に関する項目では、今改定で「強化型」が創設された在宅療養支援診療所(在支診)について質問した。在支診の届出状況は、「単独強化型」11施設、「連携強化型」66施設、「その他在支診」192施設、「在支診以外」1,366施設となっており、(1)在支診の届出をしていない理由としては、「24時間訪問看護の体制を整備できない」「24時間往診が可能な体制を整備できない」が多い、(2)在支診以外の診療所では、今後、新たに在支診の届出をする意向は少ないが、緊急往診・在宅看取り総件数の約3割を担っている、(3)「連携強化型」の届出が可能となったが、「近隣に医療機関はあるが、頼みにくい」「近隣の医療機関が在宅医療を行っているか不明」を理由に連携が困難との回答が半数を占めている―などの状況が明らかとなったことを報告。

 これらを踏まえ、同常任理事は、「連携によって強化型在支診の届出をしたい意向がありながら、出来ていないところがある。地域医師会が主体となって連携体制が構築出来るよう、日医はモデル事例を提示するなど支援していく。また、在支診ではなくても、かかりつけの医師として、緊急往診や看取りを行っている診療所があるが、現在は、強化型在支診、その他在支診、在支診以外で、緊急往診やターミナルケア加算の評価に格差があるので、実施した内容に基づいた評価になるよう働きかけていく」と述べた。

 また、在宅療養支援病院(在支病)については、「中小病院で、今後在支病を目指すところが少なくない。在支病以外も含めた中小病院と、在支診以外も含めた診療所が地域の実情に合わせて効果的に在宅医療を提供出来るよう、更にその連携を推進していく」との姿勢を示した。

 診療所の時間外対応加算(加算1〜3合計)については、診療所の30.9%で届出されており、無床診療所では26.2%、有床診療所では66.5%となっている一方、届出をしない理由としては、「時間外対応しているが、算定要件が厳しい」「周知による負担増を懸念」などが主であったことを紹介し、「今改定では、輪番制でも算定出来るようになったので、地域医師会が主体となって連携の仕組みを構築していくよう働きかけていきたい」と強調した。

 また、今改定では、管理栄養士の配置が入院基本料の算定要件とされたが、有床診療所の半数で配置出来ず今後のメドも立っていない状況にあり、特に、小児科では100%、眼科では93.8%が「配置しておらずメドなし」と回答しており、改めて要件の見直しを求めるとした。

 一般病棟入院基本料については、特に満たすことが困難な要件として「看護職員数」が63.7%と最も多く、看護師の採用について「かなり困難だった」とした病院が、5年前の32.7%から43.4%に増加したことを挙げ、「看護師の確保が更に困難になっていることから、看護配置要件の見直しと夜勤72時間ルールの緩和を求める」とした。

 このほか、同常任理事は、今回改定されなかったため、質問項目を設定しなかった初・再診料についても、「医師の技術料そのものであるが、適切に評価されていない。加算ではなく、再診料本体を引き上げるべき」「前回(2010年度)改定で、診療所再診料は数字合わせのごとく引き下げられ、今回もそのまま据え置かれているのは問題」など、是正を求める意見が多く寄せられたことを報告し、「引き続き強く引き上げを要請していく」との姿勢を示した。

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