白クマ
日医白クマ通信 No.1576
2012年8月9日(木)


定例記者会見
「看護師国家試験・准看護師試験の実施日」について
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、8月8日の定例記者会見で、「看護師国家試験・准看護師試験の実施日」について、看護職員確保の観点から、日医の見解を明らかにした。

 初めに、同常任理事は、医療現場における看護職員が慢性的な不足状態にあり、各医療機関がその確保に苦慮している状況の中、准看護師・看護師が養成課程を修了し、免許を取得して新たな看護職員として医療現場に参加することは、医療機関にとって非常に重要なことであるが、その免許取得のための、看護師国家試験と准看護師試験が同一日に実施されることで、看護職員の確保対策を困難にする事態が発生しているとした。

 その上で、「看護師国家試験と准看護師試験は、法的にも同一日にする必要はないにもかかわらず、現状ではかなりの都府県において同一日実施となっており、日医として、慢性的に不足状態にある看護職員確保の観点から、この問題点を指摘する」と述べ、(1)現状、(2)問題点、(3)異なる日に試験実施した場合の利点―について、以下のように説明した。

(1)試験の実施については、保健師助産師看護師法第18条によれば、「保健師国家試験、助産師国家試験及び看護師国家試験は厚生労働大臣が、准看護師試験は都道府県知事が、厚生労働大臣の定める基準に従い、毎年少なくとも一回これを行う」とされているが、各試験実施日の現状は、平成23・24の両年とも看護師国家試験と准看護師試験が同一日であったケースは12都府県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野・京都・兵庫)にのぼる。また、鳥取を除く関西広域連合では平成26年から同一日実施の方針との報道もある。平成25年は現時点では未発表の所が多いが、今年度同様ではないかと考えられる。

(2)試験同一日実施の問題点としては、1.同一日実施は法的根拠もなく、看護職員確保対策が取り沙汰されている中、実施する合理的理由も見当たらない、2.看護師国家試験受験対象者は准看護師試験受験可能であり、その受験機会を奪うことになる、3.同様に、EPA(経済連携協定)で来日している看護師侯補生の准看護師試験受験の機会を奪うことになる―ことを挙げた。

(3)異なる日に試験実施する場合の利点としては、1.看護職員確保の一助となる、2.看護師国家試験受験対象者は准看護師試験も受験可能であり、仮に看護師国家試験に不合格となっても准看護師試験に合格していれば、看護職員として医療現場で就業可能となる、3.看護師国家試験受験対象者は一般的に、受験前に医療機関等から採用の内定を受けているのが実態であり、その観点からすれば、看護学生と医療機関等にとっても有意義である―ことなどを挙げた。

 最後に、同常任理事は、記者からの質問に答えて、各都道府県医師会に対し、8月2日付で、准看護師試験日と看護師国家試験日の同一日実施を避けるよう、都道府県行政と十分協議して欲しいという内容の要請文書を横倉義武会長名で発出していることを明らかにした。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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