白クマ
日医白クマ通信 No.1579
2012年8月23日(木)


定例記者会見
「社会保障制度改革推進法等の成立を踏まえ、日医の見解を公表」
―横倉会長

定例記者会見


 社会保障・税一体改革関連法の成立を受け、横倉義武会長は、8月22日の定例記者会見で、日本医師会の見解を公表した。

 「社会保障制度改革推進法」「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」など、社会保障・税一体改革関連法は8月10日に成立。これにより、消費税率は、平成26年4月に8%、27年10月には10%に引き上げられることとなったが、まず、同会長は、「消費税率の引き上げにより社会保障の安定的財源が確保されたこと、消費税収を年金、医療、介護、少子化のために充当することが明確化されたことを評価する」と述べ、引き上げに当たり、(1)消費税増収分の使途、(2)控除対象外消費税の解消、(3)国民皆保険の堅持―に関する3点を要請した。

 (1)消費税収増収分の使途に関しては、「社会保障・税一体改革大綱」において、消費税収を「社会保障目的税化する」と記されていることについて、「厳密に目的税化されれば、将来、社会保障給付が消費税収の範囲内に圧縮されていくのではないか」と懸念。消費税収以外の財源も社会保障給付に要する公費負担の財源に引き続き充てられるべきだとの考えを述べるとともに、消費税収を成長戦略の諸課題や公共事業に配分するとの方向が示されていることを問題視し、「増収分はすべて社会保障に充当するべきである」と強調した。

 (2)控除対象外消費税の解消に関しては、「税制に関する決定権限を持つ検討の場を早急に設置すること」「社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を仕入税額控除が可能な課税制度に改め、かつ患者負担を増やさない制度に改善すること」を強く求めた。

 (3)国民皆保険の堅持に関しては、社会保障制度改革推進法について、社会保障の機能の充実と安定財源の確保を実現するものであり、この点は評価するとした上で、給付の重点化や縮小が示唆されていることを指摘。 公的医療保険制度について、“原則として”全ての国民が加入する仕組みを維持する、と明記されたことを取り上げ、「例外をつくる可能性が示唆されているが、国民皆保険は、すべての国民が加入することが大前提であり、日医は政府が国民皆保険を放棄するかのような姿勢を示したことを看過するわけにはいかない」との姿勢を示した。

 更に横倉会長は、「健康保険の適用範囲の縮小が懸念され、世界に誇れる国民皆保険を歪める保険免責制や受診時定額負担の導入、混合診療の全面解禁につながりかねない」と社会保障制度改革推進法の問題点を挙げ、経済力によって受けられる医療に格差が生じる医療の営利産業化には断固として反対することを強調。今後、社会保障に関する具体的な検討が行われる「社会保障制度改革国民会議」に、日医を国民の生命と健康を守る専門家集団として参画させるよう要請した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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