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定例記者会見 「冊子『今こそ考えよう 医療における消費税問題―第2版』刊行について」 ―三上常任理事 |
本冊子は、5年前に作成した会員向けパンフレットをリニューアルしたもので、(1)消費税の仕組み、(2)社会保険診療は非課税、(3)業者に支払う消費税、(4)控除対象外消費税とは、(5)医療機関における控除対象外消費税の現状、(6)診療報酬への上乗せ―などの項目に沿って、消費税の仕組みや医療機関における消費税負担の実態等について説明している。 その中で、社会保険診療は非課税とされる一方、医療機関は仕入れる医薬品や設備などに消費税を支払っており、仕入税額控除の対象外となっていることから、医療機関に不合理な税負担をもたらしていることを分かりやすく解説している。この控除対象外消費税に対する診療報酬の上乗せも十分かつ合理性のあるものではなく、現行制度のまま消費税率が10%になれば医療機関の経営に大きな影響を及ぼすことを強調。 また、2版においては「薬価と消費税」の仕組みや留意点についての記述も追加し、(1)薬価は非課税という扱いでありながら、実質的には価格の一部として消費税が上乗せされているため、消費税が上がれば、患者や国民は一部負担金や保険料など、目に見えない形での負担が増えていく、(2)医療機関は医薬品の購入時、薬価を基準に卸業者と買い値を交渉するが、通常の買い値は税抜き価格であるため、実際に支払う税込み価格は消費税が加算されることとなり、医療機関には消費税分だけ損をしている感覚がある―ことなどを解説。今後、税率が引き上げられた際、混乱を生じないためにも、税抜き相当の正味薬価と消費税相当額を明確に“見える化”することが必要だとした。 これらの問題解決のためには、社会保険診療の非課税制度を、患者負担を増やさない仕組み(ゼロ税率、軽減税率、患者への還付制度など)で課税制度に改正するべきだとしているほか、消費税問題に関する用語の解説や、疑問に対する回答を掲載している。 同常任理事は、中医協専門組織医療機関等における消費税負担に関する分科会において医療機関の消費税負担の検証等が進められていることに触れ、「本日の分科会で、課税の在り方について検討する場を、中医協とは別に設置すべきとの要望書を、日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会等の診療側委員の連名で出す予定である」とし、関係各方面の理解と協力を求めた。 なお、本パンフレットは日医ホームページの「税制関連資料」のコーナーにも掲載している。 ◆問い合わせ先:日本医師会年金・税制課 TEL:03-3946-2121(代)
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