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定例記者会見 「生活習慣分野におけるスイッチOTC薬化のあり方の見直しを提言」 ―中川副会長 |
同副会長は、生活習慣病対策について、「まずは、運動療法と食事療法に取り組むべきで、医薬品を使用する場合においても、医師の診断と適切な治療方針の下に処方されるべきである」と強調。「容易に生活習慣病に係わる医薬品を購入出来るようになれば、医薬品を服用しているという安心感から、運動や食事に対する配慮が疎かになり、結果として症状が発現したり、悪化したりすることが危惧される」とするとともに、「医療用医薬品の安易なスイッチOTC薬化によって、購入者の自己申告に基づき薬剤師が服用の可否を判断することになる。医師のみが行う行為である疾患の診断・治療を薬剤師が行うことは問題がある」と指摘した。 今回、了承されたエパデールについては、「第1類医薬品として、セルフチェックシートを基に薬剤師の判断の下に販売するとしているが、『平成22年度一般用医薬品販売制度定着状況調査結果』(本年1月厚労省公表)によれば、説明が義務づけられている第1類医薬品の販売においてさえ、薬剤師による文書を用いた詳細な説明が十分に実施されているとは言い難い状況にある」として、その実効性を疑問視。また、「セルフチェックシートに記入する中性脂肪値は自己採血キットやワンコイン検査の結果でも良い」としている点についても、「精度管理の面からも問題があり、検査結果に異常値があった場合には、医療機関を受診し、信頼性のあるデータに基づく医師の総合的な診断を受けるべきだ」と強調した。 更に、同副会長は、(1)委員15名のうち薬系委員が10名を占め、偏りがある上、部会が非公開で開催されていること、(2)10月17日の一般用医薬品部会では、OTC薬化に慎重な委員(鈴木邦彦常任理事)の意見に対する十分な説明もないまま、採決に至っていること―等を挙げて、一般用医薬品部会のあり方を問題視。国民の健康と命に係わる医薬品行政の審議においては、十分に議論を尽くした上で納得のいく結論を出すべきだとした。 また、今後について、同副会長は、「一般用医薬品承認審査合理化等検討会が生活習慣病分野における一般用医薬品の拡大を提言した『中間報告書』を取りまとめてから10 年が経過していることから、生活習慣病のOTC薬化のあり方について、最近の生活習慣病予防対策の状況も踏まえた見直しを行うべき」と主張。12月に開催予定の薬事・食品衛生審議会薬事分科会において、その見直しに関する議論の場を設けるよう、厚労省に要望する意向を示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代) |
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