|
定例記者会見 「医学部新設と東日本大震災被災地の医療復興について」 ―中川副会長 |
同副会長は、まず、2008年に政府が医師数増加の方針を打ち出し、医師養成数の増加が図られてきた結果、医師の絶対数確保には一定の目途がつきつつあり、今後は、医師の地域偏在、診療科偏在の解消が急務との考えを示した。その上で、医学部新設には、教育確保のため、医療現場から1大学につき約300人の教員(医師)を引き揚げざるを得ず、「地域医療の崩壊を加速する」と指摘した。また、東北六県の医師会からも、「医学部新設により、教員確保のための勤務医師の移動(引き抜き)が発生し、地域の医療機関の医師不足を加速させ、地域医療の崩壊が決定的なものとなることは明らか」との声が挙がっていることや、被災3県の医学部からも、「医学部新設は被災県における地域医療復興・再生のブレーキとなり、被災地の地域医療崩壊をもたらす」として、要望書が出されていることを報告した。 更に、同副会長は、東日本大震災被災地の医療復興にむけては、あらゆる手段を尽くして取り組むべきあるとするとともに、被災三県の医学部が医師の教育・派遣を通じて取り組もうとしている地域医療支援等の活動を、国として財政面も含めて強力に支援すべきとした。また、(1)政治主導で、被災地の医学部に医療復興講座を設置し、キャリアアップにつながるポストを用意する、(2)国が通常の外数で運営費交付金(私学助成金)を全額措置する、(3)国がその講座の医師の採用を全面的に支援する―などによって被災地の地域医療に従事する医師を確保すること等も検討するよう提案した。 なお、民間医療機関についても、医師・看護師等の確保が困難であり、二重ローン問題等も抱えているとして、地域医療再生基金の柔軟な運用(10割補助、条件軽減等)と、さらなる積み増しを要請したいと述べ、被災地の医療復興を最優先課題として、政治的にも躊躇なく進めるよう求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |