白クマ
日医白クマ通信 No.1654
2013年4月3日(水)


定例記者会見
「地球温暖化対策の推進にはエネルギーコスト面の検証が不可欠」
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は、4月2日の定例記者会見で、「2012年(2011年度)病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップ報告」について調査結果等を説明した。

 本報告は、病院における地球温暖化対策推進協議会が2008年8月に策定した、「病院における地球温暖化対策自主行動計画」に関する第4回目のフォローアップ調査として、2012年度(2011年4月〜2012年3月)における数値目標の達成度や温暖化対策の取組状況をアンケート調査したものである。調査対象4,577病院のうち、1,318病院から回答(回収率28.8%)を得た。

 内容は、フォローアップ等調査編として、(0)報告要旨、(1)目標進捗、(2)対策とその効果(目標達成への取組み)、(3)CO2排出原単位及び排出量増減の要因、(4)目標達成に係る自己評価、(5)医療用亜酸化窒素の排出削減対策(CO2以外の排出削減対策)、(6)地球温暖化対策の実施状況、(7)地球温暖化対策による病院経営への波及効果、(8)地球温暖化対策基本法案等に関する要望、(9)東日本大震災の影響と今後のエネルギー政策について、(10)地球温暖化対策の推進にはエネルギーコスト面の検証が不可欠―からなっている。

 同常任理事は、2011年度のCO2排出原単位の実績が、前年比6.2%減と大幅に減少となったことを報告。減少の要因として、「東日本大震災による原子力発電所の事故に伴う電力使用制限令の発動と自主的節電対策の実施」「気象条件の影響」「長期にわたる省エネへの取り組み」などを取り上げた。

 また、医療業界では対応できないCO2排出係数増加の問題として、福島原子力発電所事故の影響により、電力生産に関するCO2排出量が増大することや、米国からシェールガスなどが導入された場合に化石燃料への依存度が再び高まることを懸念し、今後の動向を慎重に見守りたいとした。

 報告書では、国が地球温暖化対策の推進に向けて、「石油・石炭等化石燃料から電気・ガスへの転換」「原子力発電所の停止により再生可能エネルギーによる電力の活用」などの方向性を指向している状況に対して、電気・ガスや再生可能エネルギーのコスト面での問題を指摘し、中央環境審議会や産業構造審議会等において、供給されるエネルギーコストが適正かどうかを検証することが不可欠であると結ばれている。

 また、石川常任理事は会見の中で、「省エネルギー推進体制の取り組み状況」について調査した結果に触れ、「組織を設置して取り組んでいる」「組織を設置しないが取り組んでいる」と回答している病院が、2006年度の42.1%から年々増加し、2011年度は79.9%に達していることに触れ、2011年度のCO2排出量の減少要因として医療機関が省エネルギー推進に熱心に取り組んでいる状況があることを強調した。

※ CO2排出原単位:病院の延べ床面積当りのCO2排出量(単位はkg-CO2/m2)
※ 本文中の「CO2」の「2」は下付き文字としてお読みください。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)
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