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第6回医療政策会議 「社会保障制度改革国民会議を取り巻く歴史的環境」をテーマに講演 |
冒頭、あいさつに立った横倉会長は、「社会保障制度改革国民会議では、議論の取りまとめが行われているが、直面する課題は、団塊世代がもうすぐ後期高齢者になるということである。その時にわれわれはどういう医療提供が出来るのか、それを担保する社会保障のバックグラウンドとして国民皆保険体制や国民健康保険をどう維持していくかが大きなポイントとなる」と述べた。 議事では、権丈善一委員(慶應義塾大学商学部教授)が、「社会保障制度改革国民会議を取り巻く歴史的環境」と題して講演し、質疑応答を行った。 同委員は、国民会議のメンバーとして、医療提供体制の改革や受診のアクセスビリティなどについて具体的な検討を進めてきた結果、政府や経済財政諮問会議などにおける医療費抑制の議論が抑え込まれていると強調。2008年に医療機関の機能分化と連携という医療提供体制改革の青写真が示され、消費税増税分のうち医療・介護に充てられる財源の使い道がある程度決められている状況の中で、有効な医療提供体制の改革を行うためには、医療機関の競争ではなく協調が重要だとした。 その上で、機能分化し重層的に住民を支える医療・介護サービスのネットワークを構築していくため、消費税を財源とする「地域医療・包括ケア創生基金」と、医療・介護のデータなどの情報提供やアドバイスを行うシンクタンク「地域医療・包括ケアデータ解析専門チーム」の創設を国民会議で提案したことを説明。「地域医療・包括ケア創生基金」は、地域医療計画と地域包括ケア計画を踏まえて資金の重点配分を行うことを目的としているとし、「地域医療再生基金のような失敗例にならないよう、どうするかが知恵の出しどころで、制度設計では厚生労働省が持っている人的資源を有効に使わないといけない」と述べた。 また、フリーアクセスを維持するためには、緩やかなゲートキーピング機能も必要だとし、国民会議において主張したことを説明した。 質疑応答では、医療提供体制整備に関する基金や補助金のあり方についての質問に対して、「地域医療計画の実現方法には、地域特性に応じたさまざまなバリエーションがあることから中央で計画を立てることは出来ない。地域医療計画を策定する都道府県を保険者として、個別に決めてもらう話とセットで検討している」と回答。今まで、国保を都道府県単位化することに反対していた全国知事会が、国民会議で全国市長会、全国町村会とともに、保険者のあり方の検討に前向きな姿勢を示したことを高く評価し、その流れと併せて答えを出していくべきだとした。 このほか、松田晋哉委員(産業医科大学教授)が「福岡県保健医療介護総合データベース(FukHDAS)」について報告し、その中で、各自治体の電子レセプト情報を標準化された情報として整理・分析することで、医療・介護・保健政策の立案・実行・評価に活用出来るとした。 また、TPPに関して、二木立委員(日本福祉大学教授・副学長)より、「日医が安倍首相に宛てた要望書が明快であり、引き続き釘を刺していただきたい」との発言があった。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
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