白クマ
日医白クマ通信 No.1670
2013年6月6日(木)


定例記者会見
「一般用医薬品のインターネット販売等検討会の議論を受け2つの提案」
―中川俊男副会長

定例記者会見


 中川俊男副会長は、厚生労働省「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」での議論が終了し、政府が方針を示す動きがあることを受けて、6月5日の定例記者会見で日医の見解を述べた。

 同副会長は、本年1月の医薬品インターネット販売訴訟の最高裁判決(国の敗訴)を受け、厚生労働省で開催された、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」に委員として参加した経緯を説明。

 同検討会では、全面解禁ありきで議論を進めることに異論を唱えたが、インターネット販売推進派が強硬であり、必ずしも冷静かつ建設的な議論が行われなかったことに遺憾の意を示した。

 検討会の中では、日医として、「最優先すべきは国民の生命と健康を守ることであり、一般用医薬品の販売について、消費者の利便性を追求するあまり、国民の安全と安心が脅かされることがあってはならない」と主張。

 対面販売では、販売者が購入者の状態をより正確に把握することができ、薬局薬剤師の受診勧奨も大きな役割を果たしている一方、インターネット販売では、リスクの高い一般用医薬品を手軽に購入、常備し、購入者の判断で服用できることから、すなわち国民に大きな自己責任を負わせようとするものであり、非常に危惧される事態になると説明した。

 さらに、同副会長は、5月31日に終了した検討会の取りまとめ案を受けて、(1)一般用医薬品の販売に係るルールを具体化する専門家による検討会を開催すること、(2)一般用医薬品の安全性を確保する仕組みの再構築を医学、薬学等の専門家によって検討すること―の2つを提案。

 (1)では、インターネット、対面販売等のコミュニケーション手段によらず、あくまで国民の安全、安心確保のため、新たなルールに適合することを提案。(2)では、第一類医薬品が一般用医薬品に移行した後に、死亡例が報告されるものもあると説明。移行後の一定期間を経過期間として取り扱い、問題事例が発生した場合には、いったん医療用医薬品に戻すことなども提案している。

 また、政府の中に、成長戦略の象徴として一般用医薬品のインターネット販売を全面解禁しようとする動きがあることに対しては、「安倍晋三内閣総理大臣も答弁しているように経済を優先して安全性を犠牲にすることはあってはならない。政府には、国民の生命、健康を脅かさないよう大局的な見地から適切な判断をされることを期待したい」と述べ、働き掛けを続ける姿勢を見せた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代)
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