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第5回第XIII次生命倫理懇談会 「医学研究における包括的同意についてヒアリング」 |
「医学研究における包括的同意について―人体に由来する試料と情報の実験科学研究での利用」と題して講演した増井徹医薬基盤研究所難病・疾患資源研究部長は、まず、自身が国立衛生試験所で細胞バンクに関わり始めたことから、ヒトに由来する試料を扱うための基盤整備を行うこととなった経緯を紹介した。 現在、医学研究における同意に関しては、研究の目的や方法が明示された一定の範囲の下での同意と、残余試料の合理的利用についての包括的同意の2階建てになっており、包括的同意では情報がコピーされるなど流出が制限出来ないリスクがあることを説明。包括的同意に対する一般的な反応を見ても、「漠然としていて、先がわからない、見えない」「何かだまされているようだ」「いいように利用されている感じがする」「一度同意書を出したらおしまいだ」というようなイメージの悪いものであるとした。 しかし、研究は未来の不確実性に対する挑戦であり、失敗を前提とした性質のものであることから、研究を明示的に計画することの難しさも強調。 例えば、ゲノムに関する指針では、インフォームド・コンセントとして事前に研究について十分な説明を受け、自由意思に基づいて同意をする形となっているが、今回の改定により「将来的に他のヒトゲノム・遺伝子解析研究に利用される可能性、他の研究を行う機関への試料・情報の提供」への同意も盛り込まれ、部分的に包括的同意が認められることになったことを解説した。 更に、研究が発表されると、利用された試料と情報は社会性を持つものになり、研究の再現性・検証性の面からも見ても、一度研究に参加をすると検証のプロセスからは抜けられないため、包括的同意は必要であるとした。 増井氏は、「包括的同意を支えるためには、どのような社会を作りたいのか、そのために今、私たちに何が求められているのかというところまで戻って議論をする必要がある」とした上で、1人の被験者側からは、インフォームド・コンセントに関わる医師は見えても、その後ろにある大きな目的が見えないため、医師と患者間のコミュニケーションや信頼の構築が重要であり、利用する際の情報開示と倫理審査で透明性を担保するべきだとの見解を述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会庶務課 TEL:03-3946-2121(代) |
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