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定例記者会見 病院委員会中間報告「病院外来のあり方について」 ―三上常任理事 |
本報告書は、会長諮問「病院の機能分化と役割分担―とくに病院外来のあり方について―」のうち、中医協や社会保障制度改革国民会議でも議論されている「病院外来のあり方」について、まず中間報告としてとりまとめたものであり、内容は、「はじめに」「あるべき外来機能とその方向」「かかりつけ医をめぐる外部環境」「外来機能の分化」「外来機能分化への議論」「外来機能分化への提言」「我々が考える外来機能分化への考察」から構成されている。 「はじめに」では、病院外来のあり方を考えるに当たっては、あるべき外来機能とそれを取り巻く外部環境を考え、それに合わせた外来機能分化を考える、そしてその機能分化を行うためにどのような方策が適当なのかという視点とプロセスで考えているとしている。 次に「あるべき外来機能とその方向」では、「あるべき外来機能」は、8月8日に公表された日医と四病協の合同提言「医療提供体制のあり方」に基づき、「かかりつけ医機能」を中心に構築されるべきとしている。 「かかりつけ医をめぐる外部環境」では、患者は軽症疾患であっても高機能病院を受診した方が安心であるという大病院志向の考えが根強く、本来は患者啓発によって、高機能の病院は外来の縮小及び専門外来に特化、というあるべき姿に誘導していくことが望ましいが、それには時間を要するとしている。なお、ここでいう専門外来とは、診療科別の専門にこだわらず、高度急性期・高密度の医療が必要な段階であって、急性期や病状が安定しない時期、あるいは適切な診断を行うことで治療方針の決定までの時期を担当する外来としている。一方、高機能病院における医師の負担として病院外来をとらえることも必要であるとし、高機能病院への外来集中、特に90%以上という再診の多さが医師の疲弊を招いているとしている。 「外来機能の分化」では、病院委員会として今後の病院や診療所の機能分化を提案、その中で外来機能の分化を考えていきたいとしている。そこでは、高機能病院に外来の制限をする案を提案し、それを推奨するとしている。そして、地域に根付いた中小病院や有床診療所、無床診療所がかかりつけ医機能を持ち、高度急性期・高密度の医療が必要な段階であって急性期や病状が安定しない時期、適切な診断を行い、治療方針の決定までの時期を担当する専門外来として、高機能病院で担当するという機能分担が適当であるとしている。 「外来機能分化への議論」では、外来機能分化を誘導するため、患者行動に影響を与える方策として、(1)患者啓発により自発的に外来機能の分化を目指す、(2)病院規模によって初診料の自己負担割合を変える、(3)保険外併用療養費の中の選定療養の枠組みでの自己負担金として、高機能病院での初診や再診費用を患者より徴収する、(4)公的医療保険制度の範囲内で、患者の一部負担の拡大という枠組みの中での制度化を行う―という4つの方法が挙げられている。 その上で、本報告書では、委員会として「外来機能分化への提言」の中で、(4)の方法で、高機能病院における一部負担金の追加徴収の義務化を提言するとしている。 「我々が考える外来機能分化への考察」では、(4)の方法で外来機能の分化が進み、かかりつけ医機能が強化されることが期待されるとしている他、高機能病院では、1日当たりの外来患者数が仮に減ったとしても、外来患者1人当たりの一部負担金追加徴収により収入が増加するとともに、外来医師等の配置数減少により人件費も減ることから、病院経営を圧迫するものではなく、医師の外来業務の負担も減るとしている。 一部負担金追加徴収金額については、紹介状なしの場合、初診1万円、再診5千円相当が目安ではないかとしている。ただし、「逆紹介出来ない患者」や「3カ月以上の外来継続が必要な患者」については、その旨をレセプトに記載するといった制度をつくることも一案であるとしている。 最後に、総合診療外来については、専門外来で適切な診断を行い、治療方針の決定までの時期を担当する外来と考えているため、一部負担金追加徴収の対象にしなくてもいいかも知れないとしている。 同常任理事は、「今回の中間報告が、病院外来の機能分化を進める上で一助となれば幸いである」と述べ、日医の意見として反映していくかどうかについては、今後検討していきたいとの意向を示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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