白クマ
日医白クマ通信 No.1697
2013年9月20日(金)


定例記者会見
日医・民間病院オランダ医療・福祉団報告書
「改革に揺れるオランダ医療−知られざる高コスト構造とわが国への応用−」について
―鈴木常任理事

定例記者会見


 鈴木邦彦常任理事は9月18日の記者会見で、自らが団長を務める「日医・民間病院オランダ医療・福祉団」が報告書を取りまとめたことを報告し、その内容を説明した。同医療・福祉団は、医療関係者と学者の10名ほどで組織されており、平成19年からヨーロッパ諸国等の医療の実態を把握するため、各国に訪問調査を行っている。鈴木常任理事が日医常任理事となった平成22年からは日医からも支援を行っている。

 今回は、オランダの医療の実態を把握するため「オランダ医療・福祉調査団」を結成。本年4月28日〜5月5日の日程で、オランダのアムステルダムに所在する医療機関、介護施設等を訪問調査した。報告書は、(1)調査の目的と成果および提言について、(2)調査団名簿、(3)日程表、(4)報告書(各調査団員による報告書、現地講師の講演記録、講演資料)―などにより構成されている。

 報告書の中で、オランダの医療費・介護費の現状について説明。施設大国と言われるほど施設入所者が極端に多いオランダでは、OECD諸国と比べたオランダの医療費対GDP比、介護費対GDP比はともに高い状況であることが示され、高齢化のピークを迎える2050年には介護費対GDP比が断トツに高くなるとの試算が紹介された。その一方、日本の医療費対GDP比、介護費対GDP比は、高い高齢化率にもかかわらずOECD諸国の中間に位置付けられている。

 さらに、オランダのGP(家庭医)制度についても調査されており、GPの勤務体系などを示しつつ、「ケアグループ」制度について説明。「ケアグループ」は、医療費抑制の側面と、外来医療の自由化の一環としてGPがグループを組んで保険者と契約して慢性疾患の疾病管理を請け負う側面があり、ケアグループが各地域で活動することで、地域包括ケアシステムに近い取り組みが行われている状況が示されている。

 会見で鈴木常任理事は、「一概に日本が悪く、外国が良いとは言えない。オランダもいろいろな問題を抱えつつ、高齢化を乗り切ろうとしており、日本では、オランダのピーク時の高齢化率を既に上回っているが、低コストで良質な医療を提供出来ている。オランダで行われている地域包括ケアの優れた部分を参考にしつつ、医師が在宅医療における多職種協働のリーダーとなり、中小病院、有床診療所、診療所を活用した日本型地域包括ケアシステムの確立が課題となる」と述べた。

◆問い合わせ先:医療法人 博仁会 管理部 TEL:0295-53-2170
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