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定例記者会見 周産期・乳幼児保健検討委員会答申「母子保健法の課題とあるべき方向性」(小児保健法の可能性も含めて)について ―今村定臣常任理事 |
本答申は、急速な少子高齢化等さまざまな問題により、子どもの健全な育成を保障するための社会的施策が立ち遅れ、現在の日本は、子どもを産みにくく育てにくい家庭、職場、社会環境にあると指摘した上で、日本の子どもの健やかな発育を目指すためには、成育環境の整備が必要であるとともに、健やかな子どもの育成は、国の責務であるとの基本認識の下、成育過程にある者及びその養育者のために必要とされる諸事業を一層推進するための基本法(理念法)として、「成育基本法」の制定を提案している。 その内容は、(1)成育基本法のあり方、(2)成育基本法(案)、(3)成育基本計画に盛り込むべき事項―となっており、日医小児保健法検討委員会(プロジェクト)の答申(平成20年1月)で示した、小児保健法案を踏まえ、小児保健法案では明記されなかった成育(周産期、小児期、思春期を経て次世代を育成する成人期までの過程)の概念を取り入れている。 「成育基本法(案)」は、次世代を担う子どもが心身ともに健やかに成長していくための、養育者、国、地方公共団体及び医療関係者の責務を明らかにし、子どもの健康を保持増進するための施策に関する計画を策定、総合的かつ計画的に推進することを目的としており、具体的には、国の機関として「成育医療等協議会」を設置し、法定の計画として「成育基本計画」の策定を提言している。 また、国が策定する「成育基本計画」において、少なくとも、1.次世代を担う成育過程にある者に対する生命・健康教育の充実2.社会、職場における子育て・女性のキャリア形成のための支援体制の構築3.周産期母子健康診査と保健指導の充実4.周産期医療体制の充実5.養育者の育児への参画を支援する制度の充実6.国際標準を満たす予防接種などの疾病発症予防対策体制の構築7.妊娠・出産・子育てへの継続的支援のための拠点整備及び連携 ―の7項目を盛り込むべきとして、その詳細について「(3)成育基本計画に盛り込むべき事項」の中で説明している。 その上で、今回の答申については、新たに成育基本法として制度の骨格を示したものであるが、あくまでも制度の骨格を規定する法律案とそれが前提とする理念の部分のみであるとして、「成育基本計画」に盛り込まれる事項の具体的な実施方法については、引き続き検討すべきであると結んでいる。 最後に、同常任理事は、「今後、本答申を基に、成育基本法制定に向け、羽生田俊参議院議員を中心として、政府に働きかけていきたい」との考えを示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代)
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