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定例記者会見 「チーム医療の推進における看護師の医療行為について」 ―藤川常任理事 |
初めに同常任理事は、「日医としても、看護職員を始めとして、さまざまな職種がそれぞれの業務について資質の向上を図り、協働してチーム医療を進めていくことは必要と考えており、チーム医療の推進という趣旨には何ら反対はしていない」と前置きし、「今回の看護師の業務範囲の見直しについても、比較的高度な診療の補助を行うのであれば、研修を実施した上で行うことは当然であり、現状でも、医療現場においてはそのように対応している」と述べた。 その上で、今回、チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)でまとめられた41項目の特定行為案については、医師が行う絶対的医行為に該当すると思われる危険な行為が含まれていると指摘。これは、医師の業務範囲を侵すといった次元ではなく、患者の医療安全を脅かすのではないかと危惧しているとした。 その懸念は日医だけでなく、厚生労働省が行った各学会に対するアンケート結果にも表れているとして、第34回WG資料「診療の補助における特定行為(案)に対するご意見の概要」の他、10月28日に日本麻酔科学会から出された、「看護師による『気管挿管』実施に関する緊急声明」を例示した。救急救命士が実施出来る気管挿管は心肺機能停止状態の患者に対してであり、今回看護師が行うことが想定されている状況とは全く異なるものであると説明。医学界だけでなく、日本看護技術学会や日本がん看護学会等からも反対意見があるとおり、看護界でも特定行為の内容については意見が分かれているとした。 その上で、同常任理事は、「万が一の場合、患者さんの生命を脅かしかねず、不幸にも医療事故が起きた場合には、その看護師さんも看護職を辞めてしまうであろう制度にしてはならないと思う。患者さんの生命・健康を守ることが第一であるが、医療現場で懸命に働いている看護師さんたちを守るという立場からも発言してきたつもりである」と述べた。 また、「医療行為に関する法医学的研究」が今年度の厚生労働科学研究としてスタートし、10月30日に第1回研究班が開催され、「医療行為及び医療関係職種に関する法医学的研究」報告書(平成元年度厚生科学研究)を前提として、これまでの判例等も集めながら現代の状況を踏まえて改定することになったことを紹介。同常任理事は、チーム医療推進会議等の議論では、責任の問題を正面から捉えていなかったのではないかとして、「今回の研究では、責任の問題についても、法学者の先生方の意見も聞きながら研究報告書を取りまとめることになっており、今後新たに設置される予定の審議会で特定行為の議論をする際には、当然この研究結果も活かして欲しい」との考えを示した。 WGがまとめた41項目の特定行為案は決定したものではなく、今後新たに設けられる審議会で、学会等の意見や試行事業の結果、そして医療現場への影響等も考慮して検討していくことになっており、最後に、同常任理事は、「日医としては、その審議会の場で、患者の医療安全の観点から、改めて慎重に議論し、危険な行為は除いていくべきであると考えている」と結んだ。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代) |
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