白クマ
日医白クマ通信 No.1718
2013年11月22日(金)


定例記者会見
「医療機関の経営状況は依然として厳しい状態」
―中川副会長

定例記者会見


 中川俊男副会長は11月20日の定例記者会見で、(1)第19回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告―平成25年実施−並びに(2)TKC医業経営指標に基づく経営動態−を基に分析した結果について説明した。

 同副会長は、まず、(1)について、直近2事業年度調査に一本化されたことにより、診療報酬改定前後の定点調査が可能になったことを評価するとした上で、その結果を基に分析したところ、1.病院では、医業収益は増加したものの、損益差額構成比(医業利益率に相当)は、医療法人では横ばい、国公立では上昇したものの依然として赤字であった。更に、税引後総損益差額構成比(税引後利益率に相当)で見ると、医療法人は公立病院の水準を下回っている2.一般診療所では、医業収益の伸びが1%強に止まり、損益差額構成比は入院収益ありの診療所(有床診療所)でやや低下している3.一般病院では全体で病院長給与費、医師1人当たり給与費ともに上昇した。一般診療所では、医師1人当たり給与費は上昇したが、院長給与は減少している−ことなどが明らかになったとした。

(2)については、TKC全国会(会員数1万名超の税理士、公認会計士のネットワーク)から関与先の医療機関の決算データを集計・編纂したデータの提供を受け、それを基に分析を行ったと説明。その主な結果として、1.2012年度における民間医療機関の経常利益率は、病院(中小規模を中心とした法人)においては低下し、有床診療所では法人、個人とも横ばいになっている2.病院の利益率が低下した主な要因は、従事者給与等の上昇であった3.有床診療所は、医業収益が1.2%伸びたものの、従事者給与費等の上昇が要因となって医業利益率は若干低下した。経常利益率は、法人、個人とも横ばいであった4.無床診療所(院内処方・院外処方計)は、医業収益が2.1%上昇した。経常利益率は、法人はほぼ横ばい、個人は1.3ポイント上昇であった−ことなどを挙げた。

 その上で、同副会長は、「TKC全国会に月次監査を依頼している医療機関は比較的優良とされているが、その医療機関でも、損益分岐点比率が90%超の状態が続いている。二つの分析結果を見れば、医療機関の収支状況は依然として厳しい状態にあることは明らかだ」とし、医療機関の経営状況を改善するためにも、次回の改定はプラス改定にすべきと強調。更に、「20店舗以上のチェーン薬局」で処方せん1枚当たりの保険調剤収益が9,000円以上と高かったことに触れ、長期処方の見直しとともに、調剤基本料と加算の一体的な見直しが必要との考えを示した。

 なお、2つの結果の詳細は、日医ホームページ掲載の定例記者会見資料を参照されたい。

◆問い合わせ先:日本医師会医療保険課 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒見解PDF(120KB)実調分析PDF(426KB)TKC分析PDF(502KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.