白クマ
日医白クマ通信 No.1721
2013年11月26日(火)


定例記者会見
有床診療所に関する検討委員会答申まとまる
「有床診療所を巡る諸問題と具体的方策―地域医療再興のための連携強化―」
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、会内の有床診療所に関する検討委員会が、横倉義武会長からの諮問「有床診療所を巡る諸問題と具体的方策―地域医療再興のための連携強化―」について答申を取りまとめ、11月19日に小林博同検討委員会委員長(岐阜県医師会長)から会長に提出されたことを明らかにした上で、答申の概要を説明した。

 同委員会は、平成24年9月に「中医協における有床診療所の入院基本料検討に関する要望」を取りまとめ、横倉会長へ提出している。本答申は、有床診療所が抱える問題について、現状分析とその対策についての検討を重ね、取りまとめられたものである。

 その内容は、(1)有床診療所の現状、(2)有床診療所を巡る諸問題とその改善方策、(3)有床診療所のアピールのための方策(国民の理解へ向けて)、(4)地域医療再興のための連携強化、(5)「これからの有床診療所」への提言、(6)資料編「平成25年有床診療所実態調査」―の6本の柱からなっている。

 (1)では、有床診療所の現状として、平成2年に23,589施設(27.2万床)あったものが、平成25年6月には9,320施設(12.2万床)と、4割にまで減少していることを説明。無床化の理由として、看護職員の雇用困難と人件費負担及び医師の勤務負担と高齢化等を挙げ、これらの問題の根底には、著しく低い入院基本料があると指摘している。

 (2)では、有床診療所を巡る諸問題として、「入院基本料等診療報酬上の評価」「看護職員等の確保と人件費」「管理栄養士問題」等を挙げ、その具体的な改善方策について触れられており、その中では、現在の入院基本料について、日医総研の「平成25年度有床診療所の現状調査」結果を基に、有床診療所の安定経営のためには、現行の点数から200点程度の引き上げが必要だとしている。

 また、准看護師養成所に対する支援不足から、准看護師が大幅に減少し、そのことが看護職員不足の要因にもなっていると指摘するとともに、有床診療所における看護補助加算の創設を要望。

 管理栄養士については、厚生労働省が行った「入院基本料等加算の簡素化等に関する影響調査」(平成25年5月)から、「栄養管理実施加算」を届け出ていた施設は12.3%に過ぎず、早急に以前の加算方式に戻すことが必要と指摘している。

 その上で、有床診療所について、超高齢社会を支える地域包括ケアシステムにおいて、リーダー的役割を果たすことが求められているとして、日本独自の地域に根差した医療文化である有床診療所を活用し、各地域の特性と独自性に見合った日本型地域医療を構築しなおすことが必要であると結んでいる。

 最後に、同常任理事は、「今後の高齢化を支えていく地域包括ケアシステムにおいて、有床診療所がその重要な役割を果たしていくためにも、経営の安定化は必須」として、診療報酬の引き上げを強く求めた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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