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第9回医療政策会議 「オランダの経験から地域包括ケアシステム充実に向けて講演」 |
同研究員は、地域包括ケアシステムについて、慢性疾患患者の地域社会での暮らしを支える「地域を基盤とするケア」と、診断・治療・リハビリテーションなど切れ目なく受けられる「統合ケア」というコンセプトを組み合わせた概念だと整理した上で、この2つのコンセプトを含むシステムの構築を試みた国としてオランダに着目したことを説明。 まず、医療保険を取り上げ、強制加入として、(1)政府が定めた基本パッケージを民間の保険会社から購入する「ZVW(健康保険)」、(2)国を保険者とし、医療や介護の長期ケアを補償する「AWBZ(特別医療費保険)」―に加え、補完的な任意保険として「VHI」の三層構造となっていることを解説した。そして、病院中心の急性期医療のケア体制から、家庭医を中心とした多職種協働プライマリケアに至るケア提供体制の変遷に触れ、オランダの総保健医療支出対GDP比は11.0%で、日本(8.6%)より高いことを指摘。オランダでは保健医療支出に介護費用が含まれているなどのデータの違いがあるものの、プライマリケアの重視が低コストにつながる訳ではないことを示唆した。多職種協働プライマリケアのケア提供体制については、ゲートオープナーの役割を担う家庭医が中心だが、地域看護師等の専門職の自律を生かしたトータルケアを行う在宅ケア組織も活躍しているとした。 また、住宅政策が社会保障政策の1つと位置付けられ、住まいは長期ケアが提供される場所として、ケアとの連携強化が図られてきたことなどを紹介。国住宅政策を引き継いだ「住宅協会」が、(1)低所得者層等への適切な住宅の供給、(2)社会賃貸住宅のメンテナンス、リノベーション、新規建設等による質の維持、(3)ケアを必要とする人々への住宅の供給とケアとの連携の改善―などを行ってきたとし、医療法人や社会福祉法人をまちづくりの担い手とする上で参考になるとした。 ケアの品質・監査については、患者の診療内容が標準化されて蓄積され、それに基づいた形でガイドラインを更新するほか、ヘルスケア監査機関によって質の評価と利用者への情報提供が行われているとした。 わが国への示唆と課題としては、地域を基盤とするケアの統合の重要性を挙げ、多職種の専門職チームと、情報やスキルを得てセルフマネジメント能力を高めた患者との間で生産的な相互関係を築くため、いかにその地域の実情に応じた形で統合を進められるかが鍵であるとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
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