白クマ
日医白クマ通信 No.1728
2013年12月9日(月)


定例記者会見
「プラス改定の必要性を改めて強調」
―横倉会長

定例記者会見


 横倉義武会長は12月4日、記者会見を行い、財政制度等審議会が11月29日に公表した「平成26年度予算の編成等に関する建議」に対する日医の見解を説明するとともに、改めて次期診療報酬改定をプラス改定とする必要性を訴えた。

 横倉会長は、まず、財政審の建議について、「平成26年度予算編成においては、聖域を設けず歳出削減に努めなければならない」「社会保障関係費の自然増9900億円を含め、合理化・効率化に最大限取り組む」としていることに関して、「過去の聖域なき歳出削減と社会保障関係費の自然増に対する年2,200億円の機械的な削減が医療崩壊を現実化させたことは明らかである。今まさに医療再興に向けて動き出そうとしている中で、医療費を抑制することは容認出来ない」とした。

 「概算要求時点の自然増要求をもって、26年度診療報酬本体部分に必要な伸びと考える必要はない」としていることについては、「診療報酬の算定は、改定時の想定を上回ることも、下回ることもあり、2年ごとの診療報酬改定の都度是正されているため、過大な要求が継続しているわけではない」と反論。

 「地域医療ビジョンの実現のためには地域ごとの実情に応じた対応が可能な財政支援制度を活用していくことが望ましい」としていることに関しても、民間にほとんど補助されていない県もある等、現在の地域医療再生基金の問題点を挙げ、「地域医療再生基金のような財源を活用する際には、公的医療機関偏重にならないような配慮が必要」とするとともに、地域医療再興のためには、「基金の活用と同時に、診療報酬による全体的な底上げを行うことが重要になる」と述べた。

 診療報酬の改定を「公共料金の見直し」と捉えている点については、「医療は重要なライフライン産業であり、国民の平時の安全保障として、安定的供給の責務を担っていること」「ライフライン産業である公共料金の電力料金、ガス料金は燃料価格を料金に転嫁しており、上昇していること」「医療機関でも光熱水費の上昇による負担が少なくないこと」を説明。改定に当たっては、これらのことも考慮に入れるべきとした。

 また、医療機関経営が改善に向かっているとの見方があることに対しては、一般病院の約4割、一般病院の約3割は赤字であることなどを挙げ、過去の厳しい経営環境からようやく立ち直ろうとしている状態に過ぎないと指摘。更に、デフレからインフレへと移行していく中で、政府は雇用する側に対して賃金上昇を促して、労働者の賃金の上昇がインフレ率の上昇に遅れないようにしていかなければならないと主張した。

 その上で、横倉会長は、「国民との約束である社会保障・税一体改革への対応(医療機関の機能分化・連携、在宅医療の充実)」「地域医療を再興させ、切れ目のない医療を提供するための手当(救急、小児、周産期、がん、認知症対策等)」「消費税率8%への引上げに伴う補填(控除対象外消費税の解消)」―3点を実現するためにも次期改定で診療報酬全体のプラス改定が必要になると改めて強調。今後も、国民誰もが必要な医療を過不足なく受けられるよう、政府に対して、引き続き十分な財源の確保を強く求めていく意向を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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