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定例記者会見 「労災保険指定医療機関の役割」「交通事故診療の周辺問題」について答申 ―藤川謙二常任理事 |
答申内容は、(1)労災保険・自賠責保険に係る課題、(2)労災保険に関して、(3)自賠責保険に関して、(4)日本医師会労災・自賠責委員会が行うアンケート調査―からなっている。 (1)では、「労災・自賠責保険の制度概要等に係る周知等の必要性」として、医師への周知教育の重要性について触れ、会員向けに研修等で活用するための「労災医療・交通事故医療」に関するスライドを掲載している(このスライドについては、日医ホームページのメンバーズルームからダウンロード可能となる予定)。 (2)では、「労働災害発生前における労災保険指定医療機関として果たすべき役割」について触れ、特に昨今、増加傾向にある、労働者の精神疾患、睡眠障害、脳・心臓疾患、癌などの疾病予防の取り組みについてまとめている。また、将来的に労災請求が予想される東京電力福島第一原子力発電所の労働環境等について、「福島労働局と懇談会を実施した成果」「労災診療費の審査」「労災かくし」についての議論がまとめられている。 (3)では、「健康保険と自賠責保険の優先使用の問題」について、自賠責保険の優先使用を明確に規定するため、自賠責保険診療費算定基準の制度化に向けた検討に踏み込む必要性があるとしている。また、金融庁「自動車損害賠償責任保険審議会」において指摘されている「物損事故にも関わらず自賠責保険金が支払われている事案」や「医業類似行為等(柔道整復師)の問題」については、自賠責保険の適正化の観点から実態把握のための情報公開をし、その上で議論する必要があるとしており、問題の改善に向けて関連省庁・団体との調整や働きかけが必要性としている。 (4)では、労災・自賠責の実態を把握するため、「労災診療費の審査」「会計検査院による指摘事項」「自賠責保険における苦情処理委会」「医療協議会の開催状況」などについて、都道府県医師会の協力により全国的なアンケート調査を行った結果が掲載されている。 記者会見の中で藤川常任理事は、記者会見同日に開かれた金融庁「自賠責保険審議会」に提出された資料「自賠責保険における医療費請求の現況」を示した。その資料では、医療機関で治療を受けた場合と比べて、柔道整復の施術を受けた場合は、1件当たりの費用が高く、治療が長期化しているとのデータが示されている。これに対して、「医師は治癒の判断ができるが、柔道整復師ではむずかしく、患者の求めに応じて施術を行ってしまうモラルハザードが起きやすい状況にある」と解説。その上で、「症状が回復しない場合は、医療機関を勧める等の情報提供を行いながら、自賠責の健全な運営が行えるように適正化していきたい」と抱負を述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会 医療保険課 TEL:03-3946-2121(代) |
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