白クマ
日医白クマ通信 No.1796
2014年7月24日(木)


定例記者会見
「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(案)」及び「医療機関における携帯電話等の使用に関する報告書(案)」に対する日医の意見について
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は、7月23日の定例記者会見で、「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(案)」(以下、指針案)及び「医療機関における携帯電話等の使用に関する報告書(案)」(以下、報告書案)に対する日医の意見について説明した。

 「指針案」及び「報告書案」は、電波環境協議会(電波による電子機器等への障害を防止・除去するための対策を協議するための学識経験者、関係省庁、業界団体等により構成された協議体。総務省も構成員として参加)が、「医療機関における携帯電話等の使用に関する作業部会」(以下、作業部会)における検討結果を踏まえ、取りまとめたもので、6月30日から7月22日までの間、意見募集を行っていた。

 石川常任理事は、「作業部会」に委員として参加しており、初めに、“離隔距離の設定”“EMC(Electro Magnetic Compatibility;電磁両立性)管理者の配置”“エリアごとの使用ルールの設定”“医用電気機器メーカに期待される事項”など、同指針案の概要について説明。その上で、この案に対して、日医として、以下の4点を意見書として提出したことを明らかにした。

 (1)医療機関において医療安全の確保は使命である。当然、現場で使用されている医用電気機器についても安全な使用を求められる。しかし現実には各医用電気機器メーカと医療従事者の情報格差は非常に大きく、この関係は一般的な意味での消費者と生産者の関係と同等であると考えられる。

 従って、各医用電気機器メーカには、患者、医療機関等に対する最大限の配慮が求められることは当然であり、リスク情報の提供や適切な注意喚起、医用電気機器の電磁的耐性の向上等の正当なニーズに応える責務がある。

 (2)本会は本指針の内容は最大限順守されるべきものと考えるが、現実的にEMC管理者の設置、検討体制の構築が可能な医療機関等はごく一部であると考えられる。

 万が一、本指針への対応が難しい多くの医療機関等において携帯電話等の使用に関して重大な事故が発生した場合、本指針の存在を理由に過度の負担が生じないよう、周知・運用の際には十分に注意をすべきである。

 (3)今後、本指針を基に厚生労働省から医療機関等に対して通知等が出される際には、十分に厚労省と連携し、「医療機関における携帯電話等の使用に関する作業部会」に参加した医療関係団体を始め、広く医療界から意見を聞いた上で混乱が生じないように努力すべきである。

 (4)携帯電話、無線通信機器の世界は日進月歩で状況が変わっていくことが予想される。本指針や報告書の内容も、急速に陳腐化してしまうことは十分に考えられる。

 そうした時に柔軟にアップデートしていけるような内容、検討体制の構築が求められる。

 最後に、同常任理事は、「実は、入院中の子どものベッド上のゲーム機等にも注意が必要だと分かっている」と述べ、今後、新たなことが出てくると思われるとして、「柔軟な検討体制を構築していかなければならない」と強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会医事法・医療安全課 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒意見書PDF(93KB)PDF(773KB)


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