|
定例記者会見 「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」の問題点を指摘 ―石川常任理事 |
意見書では、同大綱に対して、(1)国民のプライバシー保護、不安の払拭を軽視した利活用ありきの施策、(2)本人の同意なしにデータの利活用を可能とする枠組み、民間任せの自主規制ルール、(3)第三者機関の設置、権限・機能、主務大臣との関係、罰則、(4)行政機関、独立行政法人、地方公共団体及び事業者間のルール未整備、(5)開示等の在り方、(6)学術研究目的の個人情報等の取扱い、(7)いわゆる名簿屋、(8)今後のスケジュール―などの問題点を指摘。 (1)では、はじめにパーソナルデータの「保護」があるべきで、国民のプライバシー保護や不安の払しょくがなされるべき。さらに、「保護すべき情報」の区分が曖昧で、保護対象には、個人の病歴、検査結果等、機微情報には医療情報も含めるべき。としているほか、意図しない目的で情報が利用されないためにも、知られたくない情報を削除できる権利を保障すべきとする他、死者のプライバシーも考慮すべきとしている。 (2)では、事業者が自ら個人情報の範囲を決める点を問題とし、被害者の救済や警察との関連など不明瞭な点が多いとしている。さらに、個人が特定される可能性を低減したデータの加工に関しては、民間団体が自主規制ルールを策定等だけでなく、悪意ある事業者に対する抑止力が必要であることから、事業者は第三者機関の認定を受けなくてはならないとすべきとしている。 (3)では、第三者機関の設置に言及したことを評価する一方、個人情報をしっかりした枠組みのなかで運用する保証がなければ安心して情報提供できないとし、現場とプライバシーを理解している医療関係者を第三者機関に配備することや医療情報のように機微性の高い情報は、漏洩時の罰則規定を他の個人情報よりも厳しくすべきとしている。また、拡散すれば回収不可能であり、抑止力となる罰則が必要であるとしている。 (7)では、名簿の漏えいと同じことが、医療情報や遺伝情報で行われることを懸念。すでに処方やレセプトで患者や医療機関のプライバシーが侵害されている恐れがあることから、早急に検討すべきとしている。 (8)では、十分な議論がなされないまま、2015年の通常国会に法案提出というスケジュールは拙速と指摘し、必要となる政省令、規則、ガイドラインの整備にも国民的合意が必要であるとしている。 石川常任理事は、「パーソナルデータの保護が初めにあるべき」として、利活用重視の方向性に懸念を示した上で、「高度なITの進歩に伴い、日本の個人情報保護は時代遅れになっている。近年起きた企業の個人情報漏えいに対しても、日本では、罰則が大変緩いものとなっており、国際的に見ても大変遅れている状況である」として、今後、国民的な合意が必要であるとした。さらに、「日医では、マイナンバー法に関する議論の中でも、日本では個人情報保護への対応が十分でないため、医療分野での番号の利用に反対してきた」として、今回、パブリックコメントに掛けられている同大綱の問題点を示し、意見書を提出することとしたと述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会 広報・情報課 TEL:03-3946-2121(代)
|
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |