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定例記者会見 「道路交通法に基づく一定の症状を呈する病気等にある者を診断した医師から公安委員会への任意の届出ガイドライン」について ―松原副会長 |
道交法101条の6においては「医師は、その診察を受けた者が第103条第1項第1号、第1号の2又は第3号のいずれかに該当すると認めた場合において、その者が免許を受けた者(中略)であることを知ったときは、当該診察の結果を公安委員会に届け出ることができる。」とされている。 これは義務規定ではないが、道交法101条の6に基づいて医師が届け出た場合には、同法103 条では公安委員会は、その者の免許を取り消し、又は(中略)免許の効力を停止することができるとされ、その欠格事由が定められている。 また、道交法施行令第38条の2及び第33条の2の3において、特定された病気にある患者の全てが該当するものではなく、特定の症状を呈している者だけが該当する相対的欠格であることが定められている。 本ガイドラインは、これらを踏まえ、医師が公安委員会へ届け出るべきと判断した場合における基本的な手続きを示すものであり、運転免許の欠格事由となる「一定の症状を呈する病気等(統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、脳卒中、認知症、アルコールの中毒者等)」の診断・治療等に関しては、関係学会のガイドライン等を参照するよう求めている。 具体的な手順については、1.医師は、当該患者が「一定の症状を呈する病気等」に該当すると診断した場合には、運転免許の保有の有無を確認する2.当該患者からの聞き取りにより、運転免許の保有の有無が確認できない場合には、公安委員会に確認することができる3.運転免許の保有が確認された場合は、当該患者の疾病及び症状が自動車の運転に支障を来すおそれがあることを患者に丁寧に説明するとともに、運転をしないよう指導し、診療録に記載する4.患者への指導が困難な場合は、その家族等を通じての指導を考慮する5.上記3.、4.を実施しても当該患者が受け容れず、現に運転している場合には、当該患者の診断結果について、医師は個人情報を含め公安委員会へ届け出る事ができる旨を説明の上、運転をしないよう再度指導し、その旨を診療録に記載する6.上記の説明にもかかわらず、一定の症状を呈する病気等の患者が運転免許を保有しかつ、現に運転している事が明らかな場合には、医師は定められた書式を公安委員会から入手し、必要事項を記入した上で届け出る事ができる。届出は公安委員会に持参するか、あるいは書留で郵送する―と明記。なお、道交法第101条の6第3項の規定により、刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律(個人情報保護法等)の規定は、医師から公安委員会への届出を妨げるものではないとしている。 同副会長は、「運転しては危険な人を診察した場合については、やはり社会的使命として医師が止めなければならないが、患者の人権にも十分配慮が必要である。その辺りを勘案しつつ説得して、どうしてもそのまま運転される方については、まず患者に医師はこれを止めるために公安委員会へ届け出ることができることを説明し、それでも運転される場合には公安委員会に届け出ることになる。今回のガイドラインは、手順を追って患者に説明し、患者の安全とともに社会の安全を守るための最終手段である」と強調し、理解を求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代)
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