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定例記者会見 「日医・民間病院ドイツ医療・福祉団による調査報告書を刊行」 ―鈴木常任理事 |
同医療・福祉団は、医療関係者と学者の13名ほどで組織されており、平成19年からヨーロッパ諸国等の医療の実態を把握するため、各国に訪問調査を行っている。鈴木常任理事が日医常任理事となった平成22年からは日医からも支援を行っている。 今回は、ドイツの医療の実態を把握するため「ドイツ医療・福祉調査団」を結成。本年4月27日〜5月4日の日程で、ドイツのベルリンに所在する医療機関、介護施設等を訪問調査した。報告書は、(1)調査の目的と成果および提言について、(2)調査団名簿、(3)日程表、(4)報告書(各調査団員による報告書、現地講師の講演記録、講演資料)―などにより構成されている。 同常任理事は、今回の調査を基に、ドイツの医療制度の現状について、 (1)ドイツは日本と同じく、社会保障制度を導入しているが、高所得層や公務員などの人口の10%は民間保険、他は公的保険といった構造になっている。公的な保険料率は15.5%、対GDP比医療費率は11.6%と高い割合であり財政規律が保たれている。 (2)日本の医師会に相当するものは、ドイツでは医師会と保険医協会に分かれており、州単位により全員の入会が義務付けられている。州医師会が専門医制度の管理を行い、保険医協会が地域の医師の偏在の是正を行っている。これにより日本よりも強力な医師会・保険医協会による当事者自治が徹底されている。 (3)保険医協会はドイツ型医療の特徴を、「手術の待機がない」「24時間救急医療体制が整備されている」「家庭医か専門医の選択だけでなく病院や疾病金庫(保険者)も自由に選択できる」としている。 ―ことなどを説明。 また、ドイツでの家庭医制度の現状についても調査し、家庭医は日本のかかりつけ医に近いとしながらも、家庭医契約が割高であることや、直接専門医に追加コストなしに受診できることから、患者にメリットがないと指摘。さらに、医療費抑制の観点から保険医協会や保健省(日本における厚生労働省)が批判的であるため、制度が普及しておらず、保健省は、「ゲートキーパーはドイツの文化に合わない」と断言していることを紹介した。 最後に、鈴木常任理事は、今回の調査を踏まえて、(1)医師会強化による当事者自治を推進すべき、(2)日医認定かかりつけ医が「家庭医」の中核となるべき、(3)日本型かかりつけ医と郡市区医師会が地域包括ケアシステムのリーダーとなるべき、(4)医療・介護分野が率先して、少子化対策と地域活性化を通じてまちづくりに貢献すべき―との意見を提言として取りまとめたことを報告。その上で、ドイツの医療が「外来は診療所」「入院は病院」と機能分化している現状に対しては、「日本では、超高齢化を乗り切るため、入院も外来もできる中小病院、有床診療所、専門医が開設する設備の整った日本型の診療所が活用されている。しかも、日本では、診療所と病院の分断、医療と介護の分断もない。それは、日本の医療の一つの特徴であり、かかりつけ医と専門医などを分断するような構造はあえてとるべきでない」とした。 ◆問い合わせ先:日本医師会 広報・情報課TEL:03-3964-2121(代)
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