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定例記者会見 「医療事故調査制度の検討事項について」 ―松原副会長 |
同副会長は、まず、本制度について、「事故が起きてしまった場合、どのように起こったのか正確に把握し、今後の医療に役立てる仕組みだと理解している」とするとともに、『WHOドラフトガイドライン』に触れ、本ドラフトガイドラインが医療事故に対する対応として指摘する項目は、世界の基本的基準として評価されており、本ドラフトガイドラインが掲げる、「非懲罰性」「秘匿性」「独立性」という3原則は守っていくべきであると指摘。その上で、「本制度の運用に際し、現場が当惑しないよう、制度内容を明確にしていきたい」とした。 「医療事故の定義」に関しては、死産の取り扱いについて、事前に日本産婦人科医会と意見交換し、「医療に伴わない自然な死産は除外する」という方向で意見が一致しており、検討会においても反論はなかったと報告。また、「予期しなかったもの」の考え方については、客観的に誰が見ても予期しなかったものと思われるような定義にしなければ現場が混乱するとして、省令に明記するに当たり、現在、厚労省に対し、分かりやすく明記するよう要望しているとした。 予期しない死亡が起きた際に義務付けられている「医療機関からセンターへの事故の報告」については、速やかに報告せず、時間を逸してしまうと解剖ができなくなること等の問題もあるとし、第1報を速やかに行うためにも、報告事項は明瞭に分かっているところを義務化し、他項目については順次説明していく形にすることで、タイムリーな制度になるのではないかとの考えを示した。 「支援団体の在り方」については、厚労大臣が定める団体に対し、支援を求めることができるとされているが、万が一事故が起きた場合、医療事故調査の実施に関する相談や解剖施設の手配、専門医の要請等、一番適切な形で原因究明を行う役割は都道府県医師会が担うべきであるとして、日医から、各都道府県医師会に対し、支援団体になってもらえるよう、都道府県医師会長協議会(11月18日開催)において要請したことを報告。 「医療機関からセンターへの調査結果報告」に関しては、院内調査を中心に、正しいデータを集め正しく判断し、二度と同じようなことが起きないようにするのが今回の法律の趣旨であるとした上で、「本報告書の目的は医療事故の再発防止であり、個人の責任追及のためのものではないことを十分に踏まえることが最も重要である」とした。 また、同副会長は、当日の検討会において、医療事故調査・支援センターの設置数について質問したところ、厚労省事務局より、法律上は数カ所設置することは可能だが、予算の関係上1カ所にする予定との考えが示されたことを報告。その上で、現状、対応可能な施設として、日本医療安全調査機構と日本医療機能評価機構の2カ所を挙げ、設置施設数等については、予算配分やマンパワー等も考慮しつつ引き続き議論していくとするとともに、同センターの調査に伴う医療機関の費用負担については、法律上調査実施が定められていることから、十分な調査を行い、再発防止につなげるためにも、保険などで対応することが望ましいとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会医事法・医療安全課 TEL:03-3946-2121(代)
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