白クマ
日医白クマ通信 No.1842
2015年1月16日(金)


定例記者会見
「平成27年度予算案閣議決定及び医療保険制度改革等を受けて」
―横倉会長

定例記者会見


 横倉義武会長は、1月14日の定例記者会見で、1月9日に開催された社会保障審議会医療保険部会において厚生労働省より示された「医療保険制度改革の骨子案」及び同日に閣議決定された「平成27年度予算案」について、日医の見解を述べた。

 医療保険制度改革について、同会長は、「歴史的背景が理解されずに残念な部分もあり、留意が必要な部分があるが、わが国の国と地方の長期債務残高が1,000兆円を超え、今後労働力人口が減少するという苦しい上り坂の中で社会保障制度を持続可能なものとするためには、改革を進めて行くことが必要である」とした上で、特に国民健康保険への財政支援の拡充等により財政基盤を強化する方針については賛成であるとの見解を示した。

 また、紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入については、勤務医師の疲弊を改善するという観点から重要であるとし、「今後も大病院にふさわしい医療の在り方を考えていく必要がある」とした。

 一方、入院時食事療養費の見直しについては、「入院時の食事は治療の一環であり、疾病によりやむなく行われる医療機関への入院と介護保険施設等の入所・利用を同一視すること自体が問題であり残念である」とした上で、「低所得者対策がとられたことには一定の評価をしたい」と述べた。

 平成27年度予算案については、消費税収も社会保障財源であることは当然だが、消費税収財源のみではなく、社会保障の財源に一般財源を充当することは言うまでもないとした上で、介護報酬については、改定率が全体でマイナス2.27%になったことに言及。「超高齢化に伴う介護需要が高まる中、介護従事者が専門性を高め、キャリアパスにつながるような賃金体系や労働環境・処遇改善が可能となるよう、介護分野の安定した経営基盤の確保のための報酬の改定が必要であると要望してきたが、マイナス改定となったことは残念である」とした上で、「介護職員処遇改善加算については、単に給与の引き上げにとどまらず、サービスの質の向上のための研修や、産休・育休等の整備といった職場環境の改善など、広く活用できるような仕組みとすべき」との見解を示した。

 更に、平成26年度と同額の904億円が確保された地域医療介護総合確保基金の医療部分については、「日医としては、更なる上積みをお願いしてきたが、来年度以降も安定的かつ確実に推進していく財源となり、基金の活用による事業が今後も継続され、社会保障の充実が図られる」と評価。地域からの積み上げによって国が必要と認めた事業ついては、「都道府県において住民のために確実に実行していくことが望まれる」とした。

 一方、724億円が確保された介護部分については、「介護保険事業計画に基づく介護サービス・施設等の整備や、介護従事者のキャリアアップ研修支援、認知症ケアに携わる人材育成研修等といった、参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善に資するための事業に活用されることとなる」と説明し、「医療や介護サービスは、地域の雇用・就業機会を創出し、今や地方の人口減少対策や地域活性化対策にもつながる重要な施策と捉えることができ、介護従事者確保対策や介護サービスの充実・基盤整備等は、地方創生につながるものと主張してきた。今後、それぞれの地域において、基金を活用した地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいただきたい」と述べた。

 また、同会長は、社会保障の充実分として、子ども・子育て支援の予算が大幅に拡充したことについても高く評価。日医では「子ども支援日本医師会宣言」を宣言し、少子化対策を推進してきたことを紹介するとともに、「引き続き予算を充て、少子化対策を推進していただきたい」と強く要望した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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