|
定例記者会見 「経済財政諮問会議・産業競争力会議等の最近の動向について」 ―横倉会長 |
同会長は、冒頭、今般の邦人人質事件に言及し、「大変残念な結果となった」と述べた上で、経済活動がグローバル化する中で、世界の中で日本は今後どのような役割を果たしていくのかを考えなくてはいけないとした。更に、「所得や資産の格差の指標であるジニ係数は30年間上昇しているが、その格差の縮小について、税による効果は低く、社会保障が格差の縮小に大きな役割を担っている。貧困と行き過ぎた格差は社会を不安定化させる要因となり得ることから、社会保障の充実によって安心できる社会をつくることが重要になってきている」と指摘した。 また、2025年を控え、国民皆保険を持続可能なものとし、国民への質の高い医療を将来にわたって提供するためには、医療周辺産業の市場活性化・新市場創出策のみだけではなく、医療本体を支える病院・診療所、更には、その中心となるかかりつけ医への支援が不可欠だと強調した。 経済財政諮問会議における「国民的な取組による経済再生・財政健全化に向けて」に関しては、現在もすでに市町村によって住民の健康増進活動が図られ、住民の健康への努力の結果として、保険料が軽減された広島県呉市を例に挙げ、このような成功事例を地域の実情に応じて各地域に展開していくことが大切との見方を示した。 更に、現役世代の減少と高齢者の増加により、わが国の社会保障の財源確保は今後厳しい状況となることが予想されるが、医療と介護は高い雇用誘発効果を持つため、地域の雇用を下支えしており、高度な技術を駆使した医療技術など、新たな技術革新も生まれ、経済成長に寄与していると説明。社会保障と経済は相互作用の関係を持つものであることから、経済成長のためにも社会保障の充実は不可欠だとした。 一方、健康寿命を短くする要因としては、骨折・転倒と関節疾患といった運動器に起因するものが多くを占めており、いわゆるロコモ対策には、生活習慣病と同様に重点を置かねばならないと指摘。更に、加齢によって筋肉が減少していくサルコペニア対策にも力を入れていく必要があるとの考えを示した。 同会長は、日医が、かねてから政府に対し、「社会から支えられる側」であった高齢者が「社会を支える側」になれるよう、健康寿命の延伸をしていくことが重要であるとして、国民のライフサイクルに応じた生涯保健事業の体系化を提言し続けてきたことにも言及。その結果、ようやく、厚生労働省も健康寿命延伸を推進するための組織改革がなされ、国民の健康づくり対策を所管する健康課が健康局の中に創設されることになったと説明した。その上で、健康寿命の延伸のためには、ライフステージに応じた公的制度としての各種地域保健事業の拡充と、国民にとって魅力ある健診項目の設定等による受診率の向上が必要であり、健康局健康課にその役割を期待するとともに、日医は、「健康寿の延伸」に向けて引き続き政策提言をしていくとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |