白クマ
日医白クマ通信 No.1862
2015年3月12日(木)


定例記者会見
「日医の考えるあるべき医療の方向性を改めて説明」
―横倉会長

定例記者会見


 横倉義武会長は3月11日、記者会見を行い、経済財政諮問会議並びに財政制度等審議会財政制度分科会で出された日本の医療制度に対する意見も踏まえ、日医の考えるあるべき医療の方向性等について、説明を行った。

 財政審でのヒアリングの中で、経済団体から再び「受診時定額負担の導入」が提言されたことに関しては、まず、高齢者や低所得者の方が受診を差し控えざるを得なくなるなど、受診時定額負担の問題点を改めて説明。「この問題は、既に2011年にその導入を見送ったことで解決済みと認識しており、再び提言されたことは甚だ遺憾である」とした。

 また、経済団体のヒアリングでの意見や、経済財政諮問会議の一部の政策コメンテーターから、医療・介護分野の給付抑制や、医療費自己負担増といった意見が出されていることに関しては、「非常に残念」とした上で、日医の考える公的医療保険の財源確保策について説明。「国民に負担を求めるのではなく、まずは、被用者保険の保険料率を公平化することによって、国民皆保険における負担の公平化を図ることを最優先課題にすべきである」と主張した。

 「外来受診の適正化」については、2016年度から紹介状なしで特定機能病院等を受診する場合等には、原則として、定額負担を患者に求めることになることに言及。「勤務医師の疲弊を改善するという観点からも重要であり、今後も大病院にふさわしい医療の在り方を考えていく必要がある」とした。

 また、各都道府県が地域の特性に配慮した地域医療構想を策定するが、適正な外来受診が行われるためには、「かかりつけ医」機能を推進していくとともに、住民への情報提供、適切な受療行動の啓発を推進していかなければならないと指摘。「それにより、患者さんがそれぞれの症状にあった、ふさわしい医療を受けられるようになるのではないか」と述べた。

 更にコメンテーターから、「政府がまずやるべきことは、医療者が行う診療の質を担保する仕組みを導入する」との意見が出されことに関しては、「医療の質」のアウトカムである「最終的な健康の指標である平均余命、健康寿命」等において、日本が極めて良好な水準にあることを示して反論。医療の質を担保するには「医師個人に任せきりにするのではなく、標準的治療や他の医師と比べることができるような体制づくり」が必要だとして、その良い手段として、日医が行ってきた生涯教育制度を挙げるとともに、引き続き、日本医療機能評価機構や日本専門医機構の取り組みに対しても、積極的に関わっていく考えを示した。

 また、医師の偏在解消に向けて、日医と全国医学部長病院長会議で「偏在解消策策定の合同委員会」を立ち上げることにも触れ、同委員会で様々な議論を行い、提言を取りまとめていきたいとした。

 その上で、同会長は、「社会保障と経済は相互作用の関係にあり、老後が不安であるという思いを持つ国民に安心を示すことは、経済成長を取り戻すための出発点である」と強調。今後も、国民が必要な医療介護を必要な時に過不足なく受けられるような社会をつくっていくとして、改めてその実現に向けた理解と協力を求めた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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