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定例記者会見 母子保健検討委員会中間答申「少子化対策に関する政策提言書」について ―今村常任理事 |
中間答申「少子化対策に関する政策提言書」は、1.諸外国から見た日本の「少子化対策」の現状と課題、2.提言の内容、3.未来への投資とその必要性(中期的ビジョン)―からなっており、2では、(1)子育て支援、(2)経済・雇用および男女共同参画、(3)価値観の変革―の3つの柱に分けて、その具体案が示されている。 (1)では、提言書の中核となる、産婦人科・小児科・かかりつけ医が連携した「日本版ネウボラ」の創設を提言(「ネウボラ」とは、フィンランドの妊娠中から就学前まで切れ目のないケアを受けることができる施設。既に、厚生労働省モデル事業「地域における切れ目ない妊娠・出産支援の強化」での先行例として、東京都、千葉・埼玉・愛知・三重各県でネウボラに近い事業が行われている)。 また、教育現場においては、結婚から妊娠・出産までの過程及び子育てに対する自らの役割を理解できるような教材の作成・導入とともに実際の指導に当たる人材に係る費用の支援も必要だとした他、全国どこででも安心して出産し子どもを診てもらえるような医療費助成制度及び医療提供体制の整備に関しても、必要な予算措置を講じるべきとしている。 (2)では、子育て世帯の経済や生活の状況は多様であることから、国はその実態を把握した上で必要な経済的支援策を整備することを提言。子育てしながら男女が共に働きやすい勤務形態を選択できる制度など、多様なニーズに対応できる労働環境の改善を求めている。 (3)では、子どものいる家庭を社会全体で支援するという理念を広く国民に周知し、男性の育児への積極的参加を促すべきと提言。従来、女性医師や看護師等の就業継続支援を目的に行ってきた、子ども・子育て支援の取り組みの一層の向上を図り、これらの取り組みを一般社会の先行モデルとして、旧来の就労モデルの変革に寄与していくとともに、国には強力な支援を求めている。 更に、子どもが健やかに育ち、子育て世帯を社会全体で支援するという理念の実現のためには、平成25年に、会内の「周産期・乳幼児保健検討委員会」答申でも提言のあった「成育基本法」の早期の制定が重要としている。 また、3では、少子化対策に係る政策を行う上で、必要となる財政規模は相当程度になると思われるが、国家としての中期的ビジョンとして実行されることを強く望む旨が記載されている。 なお、後半には、資料集として、日医総研が諸外国の少子化対策に係る取り組みを主として取りまとめ作成した関係資料が添付されている。 最後に、今村常任理事は、今後について、「本提言を基に、成育基本法の制定も含め、少子化問題の根本的解決を目指して政府等に働き掛けていく」との考えを示し、その実現に向けた理解と協力を求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課課 TEL:03-3946-2121(代)
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