白クマ
日医白クマ通信 No.1879
2015年5月1日(金)


定例記者会見
「適切な医療を受けるため、過不足のない診療報酬の確保が重要」
―横倉会長

定例記者会見


 横倉義武会長は、4月30日の定例記者会見で、財政制度等審議会財政制度分科会が27日に開催され、財務省から当面の社会保障制度改革の基本的考え方と医療・介護に関する制度改革・効率化の具体案などが示されたことに対する日医の考えを説明した。

 同会長は、「国民皆保険を守るため、持続可能な社会保障制度とすることは、我々も同じ思いである。医療・介護は公共財であり、国家的事業として最優先されるものでなくてはならない」と述べた上で、「国民が適切な医療を受けるためには、過不足のない診療報酬の確保が重要。また、診療報酬は国民皆保険体制の中で、実質的に医業経営の原資を司るものであり、医業の再生産の可能性を左右し、ひいては医療提供体制の存続に直結する」と指摘した。

 更に今回示した資料を基に、アベノミクスの成果により物価や賃金は大きく上昇しているが、医療機関の費用構造を見ると人件費が減少している状況や、医療・介護分野は特に地方において雇用誘発効果が高いことを説明。「医療機関が経営的にも安定し、給与等の形で医療関係従事者に還元されることは、わが国の経済全体への波及効果も期待できる。したがって、ものと技術とを分離した適切な資源投入を図ることに重点を置いた上で医療・介護の財源を確保すれば、特に地方の経済が活性化し、経済成長にもつながる」と提言した。

 また、同会長は、「受診時定額負担」「市販品類似薬等に関わる保険給付の見直し」「後発医薬品」など個別項目に対する日医の見解を説明するとともに、「薬価改定財源の診療報酬本体への充当」について言及。「薬価差は、元々、制度発足時に十分な技術評価ができなかったことから生じたものであり、その不足分に相当する潜在的技術料であったことや、『医薬分業』の推進とも密接に関連することを踏まえつつ、財源が厳しい中で、ものと技術を分離し、薬価財源等を活用することで、技術の評価を充実させることにより、医療の安全・安心を図ることが必要」との考えを示した。

 更に同会長は、これに関連して、「厚生労働省等による経済的インセンティブを用いた医薬分業の推進により、分業率は、過去20年で著しく上昇したが、常々、その効果が当初期待したものであったかということは検証されるべきと考えていた。調剤技術料は、院内処方から院外処方に移転した分以上に増加しており、これを端緒に、患者の恩恵・利便性、保険財政上の影響、医療機関や調剤薬局の経営状況等様々な観点から掘り下げた議論が進むよう期待する」と述べた。

 最後に、同会長は、「日医は私が会長になってから、『国民の安全な医療に資する政策か』『公的医療保険による国民皆保険を堅持できる政策か』という2つを政策の判断基準としており、2025年を一つの目標として、高齢社会を構築できるよう努める」との考えを改めて示し、理解と協力を求めた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒PDF(146KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.