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日医・日本医学会・全国医学部長病院長会議合同記者会見 「国家戦略特区における医学部新設問題について3団体合同で緊急声明を表明」 |
横倉会長は、「医師不足問題は、医師の絶対数の不足と偏在からなる問題である」とした上で、2008年に政府が医師数増加の方針を打ち出して以降、既に医師養成数は1,509名増加しており、増加した医師は2014年度から就業し始めていること、増加定員は地域枠であり、その地域で活躍することが見込まれていることを説明。 現在起きている医師の地域並びに診療科の偏在の問題については、「全国医学部長病院長会議と共に『偏在解消策策定の合同委員会』を設置し、その解消等を検討中である」とするとともに、4月より全病院を対象に「必要医師数調査」を実施し、調査結果は6月中を目途に取りまとめる予定であることを報告。医学部新設の問題は、それらの結果も踏まえて議論すべきであるとした。 久医学会長は、急激な医学部定員増により医学生の質の低下が見られ、新たに医学部を新設することでそれに拍車をかけるのではないかと懸念を表明。今後、若年者人口が激減する中、医学生のこれ以上の増加は、国民が求める質が高く安全な医療に逆行するものだとして、医学部新設に対し、改めて慎重な対応を求めた。 小川彰全国医学部長病院長会議顧問は、東京圏国家戦略特別区域会議の成田市分科会において、分科会の開催予定や議論の方向性等、マスコミを始め、国民や医療界に十分な情報を開示することなく、結論ありきで議論が進められていることを問題視。 今回の医学部新設が、「国際医療人育成」を目指すとされていることについても、「成田市に関する計画では140名の定員中、特別国際枠は20名のみであること」また、「現在、第三者機関として、日本医学教育評価機構を発足させグローバルな医師養成に力点を置く医学教育改革が進んでいること」などを挙げ、「特区で医学部を新設し国際医療人を育成する妥当性はない。国際性ある医学教育のモデル事業に名を借りた一般の医学部新設に他ならない」との考えを示した。 地元の医師会を代表して記者会見に出席した田畑陽一郎千葉県医師会長は、「千葉県では病床の増床が認められたにも関わらず、それに見合う看護師を含む医療従事者が確保できず、病床を稼働できないところが数多くある」とした上で、「今後、医療特区構想が実現し、混合診療の全面解禁や医学部と付属病院の新設が行われるようなことになれば、国民皆保険が空洞化するだけでなく、地域からの指導医の引きはがし等により、地域医療が崩壊することは必至である」と指摘。「医学部新設は県民医療を守る観点から意義は少なく、千葉県医師会は断固反対である」との認識を改めて示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会生涯教育課・総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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