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定例記者会見 「経済財政諮問会議等について」 ―横倉会長 |
(1)では、医療機関等と民間事業者の連携促進に向け、一般医療法人に特定の営利性業務を本務として解禁することなどが提言されている。 これに対して、同会長は、医療の非営利原則を大前提として、病院や診療所等の経営を本来業務とする医療法人には、現行通り、医療・保健・介護・福祉等の範疇で附帯業務を認めていくべきとの考えを示した。 (2)では、保険者努力支援制度やヘルスケアポイントの付与などが挙げられている。 これについては、健診実施率の向上や健康増進に取り組んだ市町村を評価する仕組みにすることは望ましいとした上で、公的医療保険制度の在り方の根幹に係る問題であり、慎重に検討を進めていくことが必要とした。 (3)では、頻回受診や過剰投薬等を排除する仕組みや、かかりつけ医の普及等が挙げられている。 同会長は、まず、かかりつけ医を受診することにより、適切な受療行動、重複受診の是正、薬の重複投与の防止等が可能となり医療費を適正化することが期待できるとした。また、高齢者の健康増進のためには、地域における生活支援を含めた医療が重要であり、地域の身近な通院先、急性期から回復期、慢性期、在宅医療まで「切れ目のない医療・介護」の提供と機能分化をし、地域包括ケアを推進することも、医療費を適正化することにつながるとの考えを示すとともに、医師会と行政が一体となって進めていかなくてはうまくいかないとした。 (4)では、年齢ではなく所得や資産等の経済力に基づき負担を求める仕組みに転換することなどが挙げられている。 方向性については賛成とした他、日医が以前から保険料率を協会けんぽの保険料率に合わせて公平化すべきと主張してきたことに言及し、被用者保険の保険料率を10%にすれば、現状に比べて約1.3兆円の増収効果が見込まれ、医療保険財政の安定化につながるとした。 (5)では、後発医薬品の利用率目標の引き上げや、平成30年度から保険償還額を後発医薬品価格に基づき設定すること、さらに、スイッチOTCが認められた医療用医薬品を含む市販類似薬は保険から除外することなどが挙げられている。 これらに対しては、まずは、流通の改善や、患者・医師の不安を解消する環境整備が不可欠とした上で、いわゆる参照価格制度については、公平・公正な医療提供とは言えず、極めて慎重な対応を求めた。また、一般用医薬品の漢方薬やスイッチOTCについては、治療上必要である限り保険適用すべきであり、安全に使用できると考えられて市場に流通していることとは関連づけるべきではないとした。 (6)では、薬価の毎年改定や診療報酬本体について、過年度のデフレ分についての段階的なマイナス調整を次回以降の改定に反映するなどが挙げられている。 薬価改定を毎年行うことになれば、医療機関や調剤薬局、保険者に大きな負担を強いることになるだけでなく、結果的に納入価格の高止まりにつながる可能性があると指摘。また、診療報酬に関しては、ものと技術とを分離した適切な資源投入を図ることに重点を置いた上で医療・介護の財源を確保すれば、特に地方の経済が活性化し、経済成長につながるとの考えを示した。 最後に同会長は、改めて受診時定額負担について反対の考えを述べるとともに、「医療・介護は公共財であり、社会保障は、生活の安定を図り、安心をもたらすための社会的セーフティネットとして、所得再分配機能を果たしている。それによって社会の安定に寄与しており、その機能を失うようなことがあってはならない」と述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
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