白クマ
日医白クマ通信 No.1905
2015年7月30日(木)


日医・日本医学会・全国医学部長病院長会議合同記者会見
「3団体が国家戦略特区における医学部新設に改めて反対」

定例記者会見


 日医・日本医学会・全国医学部長病院長会議の3団体では、「国家戦略特区による医学部新設」に反対する緊急声明を5月13日に発表しているが、「この問題は、人口が減少する中で、今後の医師の養成数を検討した上で慎重に対応する必要がある」として、横倉義武会長は7月29日、久史麿日本医学会長、全国医学部長病院長会議役員らと共に改めて合同記者会見を行った。

 横倉会長は、日医が、国内の全病院に対して実施した「必要医師数調査」の結果がまとまったことを明らかにし、「2010年の厚生労働省調査と比べて、今回の調査で必要求人医師数倍率及び必要医師数倍率の増加は認められなかったことから、医師の絶対数については充足されつつあるということが言える」と述べ、若年層を始め人口が減少する中で、養成費用も含めて、医師養成数の議論が必要との考えを示した。その上で、日医では、全国医学部長病院長会議と共に「偏在解消策策定の合同委員会」を4月に設置、医師の地域偏在並びに診療科の偏在の問題について、頻回に議論を重ね、委員会としての合同提言が間もなく取りまとめられる予定であるとした。

 更に同会長は、「国家戦略特区における医学部新設については、全国医学部長病院長会議や地元の千葉県医師会も反対しており、地域の医学部においても地域医療を支える立場から慎重にあるべきである」と強調した。

 久日本医学会長は、28日に開催された「第27回医学教育指導者フォーラム」(主催:日本教育振興財団)での議論にも触れ、日本は明らかに医師数の多い国であり、偏在問題を解決することが先決であると指摘。また、「医学教育の国際化」に関しても、日本の医学教育を国際的な水準にすることを目指して、今秋、「日本医学教育評価機構(JACME;Japan Accreditation Council for Medical Education)」が発足することから、医療特区において国際化を目指すことには意味がないとし、「日本医学会としても強く反対するものである」と述べた。

 森山寛全国医学部長病院長会議顧問は、東京圏国家戦略特別区域会議の成田市分科会が非公開で開催されていることを問題視。医学界・医療界を代表する日医や日本医学会の意見をヒアリングするよう要望した。

 寺野彰全国医学部長病院長会議相談役は、「教育理念に対する疑念がある」と述べ、当初は地域医療の医師不足解消、次は先端医療、そして国際性と、教育理念が次々に変わり一貫性がないことを指摘。更に、国民的な重要問題を“特区”の名の下に、密室での議論という非民主的な形で進め、さまざまな医療団体の反対を押し切ってまで進めることに疑問を呈した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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