|
日医白クマ通信 No.328 2006年1月31日(火) |
|
へき地医療・救急医療等の診療経験を病院・診療所の管理者の要件とすることについて |
過日、「へき地医療・救急医療等の診療経験を病院・ 診療所の管理者の要件とすること」について、新聞、専門誌などで報道された。
これについて、四病院団体協議会との懇談会(25日) などで議論を行い、日医では、先週、次の趣旨の通知を各都道府県医師会に送付した。
- 医療提供体制に関する審議を行う厚生労働省「社会保障審議会医療部会」での議論がこれまでなされておらず 、次期医療法改正で実施することは時期尚早である。
- へき地・救急などの診療経験の評価は新医師臨床研修の中で行うべきである。
また、社会保障審議会医療部会(20日)では、次のような問題点を指摘した。
- 医師当人、その医師に辞められた医療機関など、そして何よりも患者さんにとって、不利益となるおそれがある。
- 医師が勤務先を辞めれば、患者さんは自身のかかりつけ医を失いかねない。
- 対象とされる35〜45歳の医師は医療機関の中核的な存在だが、将来の開業のため勤務先を辞めざるを得ない。
- 特定の医療機関には医師が殺到する一方、ある地域、ある診療科等では、医師が足りなくなり、かえって医師偏在が助長される。
- 例えば、都市部でがんや糖尿病などの治療に熱心に取り組んでいる場合は、専門外の周産期医療や救急医療に従事せざるを得ず、医師自身の専門性向上の中断や医療安全の観点からも問題である。
- 個々の医師の職業選択の自由や居住の自由を奪いかねない。
- 医師の養成には、多くの善意と支援、多額の国費が投じられる社会資本の一面がある。
- すでに管理者の要件となっている新医師臨床研修を見直し、へき地や救急などの研修を充実させることにより、充分対応可能である。
- 医療計画で対象病院、診療所を定めるなど、都道府県知事に、医師の就職・配置等に関する強大な権限を与えることは、医療費抑制・削減を目的とした地域の医療体制の再編、集約化につながる。
◆問い合わせ先:日本医師会広報課 03-3946-2121(代)