白クマ
日医白クマ通信 No.340
2006年3月1日(水)


生命倫理懇談会報告書「ふたたび終末期医療について」の報告がまとまる

記者会見の様子


 寺岡暉副会長は、2月28日、高久史麿生命倫理懇談会座長(日本医学会長)とともに、第IX次生命倫理懇談会報告書「『ふたたび終末期医療について』の報告」についての記者会見を行い、その内容を明らかにした。

 本報告書は、Iはじめに、II終末期医療とは、III緩和医療、IV尊厳死、V終末期患者の急性期・救命医療、VI終末期医療における医療費、VIIおわりに、の全7章からなっている。

 寺岡副会長は、「生命倫理の問題は、近年、医療にとって大変重要な課題であり、すでに生命倫理懇談会から『末期医療に臨む医師の在り方についての報告(第III次生命倫理懇談会:平成4年3月)』、『医療の実践と生命倫理についての報告(第VIII次生命倫理懇談会:平成16年2月)』、また、医事法関係検討委員会から『終末期医療をめぐる法的諸問題について(医事法関係検討委員会:平成16年3月)』という報告書が出ているが、終末期医療に関する過去の議論を踏まえて、『ふたたび終末期医療について』という課題を論じることになった」と、本報告書をまとめるに至った経緯を説明した。

 また、高久座長は、「終末期医療は“cureからcareへ”というように区別されるのではなく、“cureもcareも”というように、むしろ連続的で継ぎ目がないと考える方が適切であること、緩和医療では、現在のようにがんやエイズに限定されず、難病を含めた多くの疾患に拡大されることが必要であること、また、本報告書では、特に、小児難病に対する緩和医療、新生児医療における意思決定、小児難病における終末期医療への移行などについても述べている」と、本報告書の特徴について、説明した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03−3946−2121(代)


医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会答申「新しい公的障害補償制度の創設を要望」

記者会見の様子


 藤村伸常任理事は、2月28日の定例記者会見で、医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会(プロジェクト)が、1月23日に、植松治雄会長に提出した答申「医療に伴い発生する障害補償制度の創設をめざして」の概要を説明した。

 答申は、第1部「医療に伴い発生する障害補償制度の創設をめざして」、第2部「分娩に関連する神経学的後遺症(いわゆる脳性麻痺)の先行実施」からなり、無過失あるいは過失の証明が困難な事例を含め、医療に伴い患者が受けたすべての障害に対して、迅速・公平な補償が可能になる公的な制度の創設が、喫緊の課題だと指摘。

 藤村常任理事は、わが国の現状および海外での無過失補償制度実施国のうちニュージーランド・スウェーデン等の実状調査を踏まえて、わが国における制度がいかにあるべきかを、対象、補償額、基金、制度運用の概要等まで検討していると説明。また、いわゆる脳性麻痺への補償制度の先行実施が必要な理由として、(1)少子化対策、(2)患者側の経済的、精神的負担の大きさ、(3)産婦人科医の減少で周産期医療の円滑な実施が困難―の3点を挙げた。

 藤村常任理事は、今後、脳性麻痺に対する補償制度の先行実施のため、3月中旬までに、厚生労働相、少子化・男女共同参画担当相はじめ、関連部署に要望書を提出する予定であり、日本産科婦人科学会・医会等と共同歩調をとりつつ、都道府県医師会から地元選出議員への働き掛けや議員勉強会を立ち上げるなどの活動を進めていきたいと意欲を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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