白クマ
日医白クマ通信 No.357
2006年3月28日(火)


茨城県医療問題中立処理委員会が設置される

 患者側・医療側との真摯な話し合いにおいて、互いの誤解を解くことのできる場を設け、コミュニケーションの醸成を支援し、あくまでも中立の立場で問題処理への支援を行うことを目的とした茨城県医療問題中立処理委員会(以下、中立委員会)が設置されました。

 この中立委員会は、患者側と医療側の信頼関係の破綻などによって生じた医事紛争について、決して医療側に偏ることなく、また患者側の誤解から発生している事故事例などを、前述の目的の下,第三者的な立場からの支援組織として、茨城県医師会が中心となり設置されたものです。

●茨城県医療問題中立処理委員会の設立の報告
 医療事故・医事紛争・医事関係訴訟は激増し、毎週のようにメデイアを賑わし、国民の「医療不信」を仰ぎ、その結果として、患者―医師の良好な関係の中での医療がなされないという双方にとって悲しい状況を招いています。これらの由々しき事態「医療問題」を解決することが我々医療人の課題となっています。

 医療事故があっても紛争を未然に防ぐための運動の一つとして訴訟王国米国では、“I’m sorry謝罪運動」がおきています。人は過ちを犯すものTo err is Humanの考え方を前提として、事故を起したら、即座に患者や遺族に謝って事故の経緯や原因を詳しく説明するとともに、事故の再発防止への取り組みを約束するものであります。「謝ることは法的責任を認めることになる」という誤った考えが、多くの患者やその家族、そして多くの医療従事者を傷つけています。米国では、謝罪することが、法廷において有罪証拠として採用されないための取り組みも考えられています。

 医事紛争の中には患者側の誤解により発生するものもあります。現在、医事紛争が発生した場合、会員の要請により医師会内に医事紛争処理委員会が開かれていますが、外部から見れば、医療側に偏っているとの誤解を受ける可能性があります。特に、患者側にとっては、医療側に過失ありとの裁定がなされた場合でも満足できず、ましてや過失がないとの裁定の場合は、度重なる要求も起きています。まず、紛争を解決するために、患者側・医療側双方が胸襟を開いて真摯に話し合い、互いの誤解を解くことができる場(中立委員会)を設けることが必要です。

 この度、茨城県医師会が中心となり、全国に先駆けて「茨城県医療問題中立処理委員会」を立ち上げることとなりました。会員の皆様にも、委員会の設立の意義をご理解していただき、なお一層のご協力をお願い申し上げます。
(茨城県医療問題中立処理委員会)

●茨城県医療問題中立処理委員会委員(案)
 茨城県弁護士会の推薦者、計3名。(弁護士)
 常磐大学の推薦者、茨城新聞社の推薦者、計2名。(学識経験者)
 茨城県で地域活動を行っている者、計2名。(市民代表)
 茨城県医師会3名。(医師会)

以上。

(文責:茨城県医師会常任理事石渡勇、同医師会理事小沢忠彦、同常任理事小松満)

◆問い合わせ先:茨城県医師会、TEL:029-241-8446


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